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2023.09.29 11:30

脳のインテリジェンスから見た、AIと人間の幸せな共存とは?

さらに、本では十分には書けていないことですが、睡眠についてもまだまだ解明されていないことが多い現状があります。多細胞生物は、線虫に至るまで何らかのオンとオフの周期性を持っていることがわかっていますが、その理由はまだよく解明されていません。ただ、多細胞生物は単細胞生物と違って周りの細胞との情報交換や協調が必要であり、これが生命体が最初に体験した「情報革命」と言えるのではないかと考えています。
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人類史的視点で見た人間の脳の役割と進化についても、まだまだわからない部分が多く残されています。この本について色々な質問を受けますが、同時に僕自身にも数々の疑問が湧いてくるんです。本の出版後の今も現在進行形で、私の「人類にとっての情報革命と脳の進化」に関する探求は続いています。

AIは道具。大事なのは「知性のアップグレード」

そこで、安川氏が早速始めている取り組みが3つあるという。(1)ChatGPTの可能性を含む「デジタルモードの探求」と、(2)ナレッジマネジメントツールを使った「デジタルノートの実践」、(3)6つのモードのメニューを実践し、相互関係を理解する「トータルブレインワークアウト」だ。

安川:まず(1)のChatGPTの可能性については、実際に企業でも個人でも検証が続けられていると思います。(2)のデジタルノートについては、「セカンドブレイン」や「デジタルガーデン」というキーワードでも表現されるように、自分個人のために手入れをする知の生態系(ビオトープ)であり、紙や階層的なフォルダ管理とは異なります。必要な情報に縦横無尽にリンクを張って、自分の脳の思考と思索の一部をソフトウエア上に立体化していく試みです。

ドイツの社会学者、ルーマンは情報に個別の識別子をつけるなどしていましたが、かなりアナログです。僕はこれを、Obsidianなどのデジタルツールで効率的に行えないかを探求し続けています。セカンドブレインをある程度再構築できると、それをChatGPTとAPI連携させることで、かなりの個人的な知的生産の1次作業を自動化できるのではないかと期待しています。
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最後の(3)トータルブレーンワークアウトについては、先日那須高原の賃貸別荘を借りて、本の6つのモード全てを20人で実践してみる2泊3日の合宿を実施しました。AI時代に戦っていく唯一の武器である脳を、いかに活性化させ有効に機能させていくかについて参加者の関心は高く、私の本で理論を学んだ上で、それを全員で実践してみることで、身体知として腑に落ちたとおっしゃる方も多く、大変満足して頂きました。

これからも、例えば金曜の夜に集合し、土曜日はアナログの日、日曜日はデジタルの日として設定。アナログの日は、全員が24時間スマホを預けて、朝から運動モードや、瞑想モードや、対話モードを体験し、そして日曜日のデジタルの日には、読書やデジタル等、21世紀の知的生産の方法を学習する。また初日はアルコールを摂取して入眠し、翌日のアナログデイは、適度な運動をした上で、アルコールを抜いて入眠することで、両晩の睡眠の質の違いをアップルウォッチ等を使って計測してみるなどの比較実験も今後の合宿では行っていきたいと思います。僕はもともとコンサルタントとして研修などをやってきたので、実際にやってみたらどういう効果があるのか、また、行動変容が起きるのかを知りたいと思うんです。
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インタビュアー=Forbes JAPAN Web編集長 谷本有香 文=中村麻美

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