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© Fredrik Wenzel



結婚は人生の墓場である。
昨年末に公開された映画『ゴーン・ガール』は、そんな警句を毒々しいエンターテイメントに昇華した作品だったが、スウェーデンのリューベン・オストルンド監督による『フレンチアルプスで起きたこと』は、さながら“ 北欧版『ゴーン・ガール』”とでもいうべき一作。どんなに幸福な結婚生活も、一瞬のうちに悪夢に変わり得るという現実を、この映画は戦慄とともに教えてくれる。男性の観客なら、その戦慄はなおさら。
 
フランスのスキーリゾートを訪れたスウェーデン人家族、夫と妻とふたりの子供たちは、テラスレストランでの昼食中、大規模な雪崩に遭遇する。事故を未然に防ぐため、スキー場が人工的に起こした雪崩のひとつ―のはずだったが、あまりの勢いにパニックに陥るスキー客たち。その時、本来なら守るべき家族を置いて、一目散に逃げ出したのは夫だった。ふがいない行動に憤る妻と、言い逃れする夫。5日間のバカンスは、ぴりぴりしてぎすぎすした、彼らの不協和音をさらに増幅させていく。
 
初めは他愛ない口論が、気づけば存在価値を否定しあうガチバトルに。そんな誰もが身に覚えのある、よそ目にはいささか滑稽に見える状況をベースに、オストルンド監督は男女の心理に深く踏みいり、果ては抑圧と解放のドラマを紡ぎあげる。とりわけ興味深いのは、この映画の焦点が夫の側の抑圧、つまり男であることの不自由さに当てられているところだ。

『アナと雪の女王』を筆頭に、近年の映画が主な題材として取りあげるのは、女性が女性らしさの幻想から解き放たれ、“ありのまま”に生きることの尊さだ。じゃあ、男性はそういった呪縛と無縁なのか? 
精神的な強さ、肉体的な逞しさ、女性への性的魅力……そういった幻想に男だって囚われていないか?

そこからの解放を描きだすクライマックスは、生々しく、真に迫っていて力強い。本作は昨年のカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞している。



『フレンチアルプスで起きたこと』
DIRECTOR リューベン・オストルンド
ACTORS ヨハネス・バー・クンケ、リサ・ロブン・コングスリ、クリストファー・ヒヴューほか
DATE 公開中
THEATERS ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー

門間雄介 = 文

 

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