インドの凄まじい経済発展に触れた幼少期
片岡氏はインドのニューデリー出身という異色の経歴を持つ。インドへ移り住んだのは同氏が小学生の時。それから8年間をニューデリーで過ごした。当時は2000年代初期。道路には馬車やゾウ、ラクダが通り、街のエレベーターでさえも物珍しさに人だかりが出来るほどであった。そこから経済体制の改革とともにインドは急成長を遂げた。今や世界のGDPランキングでは2050年に世界で第2位の経済大国になると予想されている。大きな変貌を遂げ、IT大国として今後も潜在力を秘めたインド。こうして圧倒的なスピード感を目の当たりにして育った片岡氏には、野心が芽生え始める。
NauNau誕生の原点
日本に帰国後、早稲田大学に進学した片岡氏は大学一年次にプログラミングと出会った。そのきっかけはSNSアプリだ。「インスタグラムの中でフォロワーとよりコミュニケーションが出来るサービスを作りたい」そんな思いを胸にプログラミングを始めた。元々、プログラミングは未経験。当初は数々の苦労があったという。最初はSNSアプリの開発に取りかかったが、同氏は当時プログラミングができなかった。そこで高校時代の友人に頼み込み、アプリ開発を始めた。アプリに対するこだわりは細部に及び、ピクセル単位の修正や色の微調整が続いた。当然細かな調整を逐一求められるエンジニアの友人とも関係はギクシャクしていく。当時の状況を同氏はこのように語る。「自分で開発した方が早いし、自分でないと無理だ。やはりゼロからリリースまで全部一人で出来るようにならなくては」そんな思いがSNSアプリの開発へと結びついていく。
片岡氏は大学二年次にFlutterというiOSアプリとAndroidアプリを同時に開発できるクロスプラットフォームを勉強し始めた。勉強時間は1日10時間以上。プログラミングを始めてからこれまでに同氏が開発してきたアプリは30個、累計ダウンロード数は17万にまで上る。こうして片岡氏はアプリ開発者、そしてアプリ運営者として優れた経営手腕を発揮していった。
プロダクト無しで3500万調達。Naunauの開発秘話
片岡氏は大学三年次にSuishowを創業した。事業領域はNFTやメタバース。当時日本で起業ブームが高まっていたことも相まり、プロダクト無しで3500万円の資金調達を達成した。そんな中、NauNau誕生の鍵となったのは、2023年2月、10代を中心に絶大な人気を誇っていた位置情報共有アプリ「Zenly」がサービス提供を終了したことだ。元々片岡氏はSNSの延長線として位置情報共有アプリを考えていた。また、当時は「会社の仕事を夜の22時までしか行わない」ことをマイルールとして設けていたため、それ以降は自身の自由時間としてアプリ開発に時間を費やしていたという。そんな中Zenlyのサービス提供終了を機に、片岡氏は類似アプリの開発をスタート。2週間でNauNauを開発しリリースした。