北米

2023.09.25

アディダスCEO、カニエ・ウェストを「擁護した発言」を謝罪

ラッパーのカニエ・ウェスト(Getty Images)

スポーツアパレル大手アディダスのビョルン・ガルデンCEOは先日、ラッパーのカニエ・ウェストの反ユダヤ主義的発言が「本心からのものではない」と発言したが、その後、この件で謝罪した。

米国最大のユダヤ人団体「名誉毀損防止連盟(ADl)」のジョナサン・グリーンブラット代表は9月21日、ガルデンと話し合いの場を持ち、彼が今回の失言を謝罪したとX(旧ツイッター)の投稿で発表した。ガルデンは彼の会社が反ユダヤ主義と戦うことにコミットしており、ウェストのヘイト発言に反対すると述べたという。

ブルームバーグによると、アディダスは22日にADLと連絡を取ったことを認めており、同社が昨年、ウェストとの関係を絶ったことが「絶対に正しい判断だった」と述べ、その姿勢が今も変わっていないことを確認した。

ガルデンは、アディダスがウェストと彼のブランドであるYeezyとの提携を解消した後、今年1月に同社のCEOに就任した。

今回の騒動の発端は、ガルデンが先日「In Good Company」と呼ばれるポッドキャスト番組に出演し、ウェストをめぐる論争とアディダスの決断について語ったことだった。グルデンは、ウェストが「あまり良くない」発言をしたと認識しているが、彼のユダヤ人についての発言が「本心からのものではない」と思っていると語っていた。

グルデンはさらに、ウェストが「悪い人間だとは思っていない、ただそう見えただけだ」と付け加えた。彼はまた、ウェストが「音楽においてもストリート・カルチャーにおいても、世界で最もクリエイティブな人物の1人だ」と称賛した。

アディダスと複数の大手ブランドは昨年、ウェストがSNS上で反ユダヤ的な発言を連発したことを受け、ウェストとの関係を断ち切った。彼の投稿は、すべての主要なSNSでのアカウントの停止につながった。ウェストはその後、さまざまなポッドキャスト番組やインタビューで同様な発言を行い、ヒトラーを賞賛することすらあった。

アディダスは、5月末からYeezyブランドのグッズの余剰在庫の販売を開始し、第2四半期決算で、同ブランドの売上高が約4億3700万ドル(約648億円)に達したと発表した。この金額は、前年同期とほぼ同水準であり、ウェストの発言がブランドへの関心をほとんど低下させなかったことを示していた。

アディダスは、Yeezyブランドの売上のうちのかなりの割合を「差別やヘイトと闘うために活動する団体」に寄付すると述べていた。一方で同社は、Yeezy関連の事業の中止により、2023年上半期に4億3700万ドルの打撃を受けたと述べていた。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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