環境に関する懸念も立ちはだかっている。半導体製造はかなりエネルギー集約型の産業だ。欧州はグリーンディール(気候変動対策)を重視しており、新たに設置する工場は再生可能エネルギーを使用し、厳格な持続可能性の基準に従わなければならない。
また、さまざまなプログラムや投資の多くに実行リスクがある。EUは大きな計画を打ち上げるのが得意だが、実行に移すのは苦手だと主張する批評家もいる。半導体法の成功は、焦点を絞って首尾良く実行できるかにかかっている。
だが方向性は定まっているようだ。同法が発効する前から、業界が欧州の目標に合わせて動いている兆候がみられた。
ここ数カ月で動きがいくつかあった。TMSCは100億ドル(約1兆4830億円)を投じてドイツに巨大な半導体工場を建設すると発表し、インテルは同じくドイツのマクデブルク市に2つの半導体工場を建設するために330億ドル(約4兆8930億円)を投資する基本合意書に署名した。フランスでは、グローバルファウンドリーズとSTマイクロエレクトロニクスが共同で運営する量産半導体製造工場を設立することで最終合意した。
さらに、EUの14カ国は半導体研究とインフラに80億ユーロ(約1兆2660億円)超を共同投資する、欧州共通の利益に基づく重要プロジェクト(IPCEI)を立ち上げた。
つまり、歯車はすでに動き出している。だが、欧州が世界で半導体のシェアを実質的に高めるには、何年にもわたる一致団結した取り組みを要する。
(forbes.com 原文)