宇宙

2023.09.26 08:30

増え続ける宇宙旅行者、6660万円のツアーに800人待ち

宇宙を感じる格安成層圏ツアー

スペースシップ2とニューシェパードは、弾道飛行とはいえロケットエンジンで打ち上げられる。そのため上昇時と下降時には搭乗者に最大3Gほどのストレスが掛かる。そのためどちらに搭乗する際も、事前に2~5日ほどのトレーニングが必要となる。

しかし、英国のスペース・パースペクティブ社の宇宙気球「ネプチューン」は、機内に入るとバーカウンターが並び、ドリンクと軽食のサービスが付き、機内には高速Wi-Fiが飛び、旅客機と同程度のトイレも完備されている。つまり、乗客にはいっさいの負担がかからないまま、高度30kmの成層圏からの眺めが楽しめるのだ。

ネプチューンの定員は6名。貸し切りの場合は機内レイアウトが自由に(Space Perspective)ネプチューンの定員は6名。貸し切りの場合は機内レイアウトが自由に(Space Perspective)

高度30kmというと低高度に感じるかもしれないが、その領域から視線を上げれば星が瞬き、眼下にはISSから眺めるような丸い地球が感じられる。そこで体感できる景観は、宇宙からの眺めと大きく変わらないという。

このネプチューンの出発地はフロリダの海岸であり、地上基地から2時間かけて高度30kmまで上昇。その高度で2時間漂い、その後2時間かけてゆっくり降下する。この6時間の旅の値段は1人12万5000ドル(1850万円/1ドル148円換算)と超格安。無重力体験さえ諦めれば、もっとも優雅な宇宙体験が楽しめるに違いない。

高度30kmの成層圏で2時間とどまる(Space Perspective)高度30kmの成層圏で2時間とどまる(Space Perspective)

ネプチューンのチケット販売は、すでに2022年9月から開始されており、2023年にテスト飛行を行い、2024年に運用を開始する予定。すでに日本人の予約も相当数入っていると報じられている。日本における代理店は、旅行大手エイチ・アイ・エスの子会社クオリタ(本社・東京都新宿区)。予約は専用サイトから。クレジットカード払いも利用可能だ。

ちなみにこの9月には、エイチ・アイ・エスの米国法人が、このネプチューンの機体を製造・運用するスペース・パースペクティブ社に出資し、同機チケットの3年におよぶ販売権を獲得した。

スペース・パースペクティブ社は、この成層圏旅行事業に取り組む以前から観測気球を製造してきた企業であり、その安全性はお墨付き。着水したカプセルは専用クルーザーで回収されるが、将来的にはクルーザーから上昇することも検討されている。そうなればフロリダ以外から出発することも可能になるだろう。

編集=安井克至

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事