CMAは発表で、買収計画の修正により、「買収承認の道が開かれた」と説明。修正後の計画は、CMAが過去に買収計画を却下した理由となった懸念に「十分に対処している」と述べた。
CMAは当初、マイクロソフトが「コール・オブ・デューティ」「オーバーウォッチ」「ワールド・オブ・ウォークラフト」などの人気ゲームを手掛けるアクティビジョン・ブリザードを買収することで、黎明期にあるクラウドゲーム市場での競争が阻害されることを懸念し、買収計画を却下していた。
マイクロソフトは8月、この懸念を払しょくするため、アクティビジョンが今後15年間にわたり発売するゲームについて、欧州以外でのクラウドゲーミングの権利をフランスのゲーム開発会社Ubisoft(ユービーアイソフト)に売却することを決めた。CMAは、この修正により「今後数年間、クラウドゲーム市場が発展する中で、開かれた競争が維持される」と述べている。
CMAは、Ubisoftへの権利売却の一部の側面が「回避されたり、破棄されたり、施行されなかったりする」可能性をめぐる「限定的な懸念が残っている」としながらも、現時点ではマイクロソフトの修正案が問題に対処するものになるとの考えを示した。
CMAのサラ・カーデル最高経営責任者は声明で、買収計画をめぐるマイクロソフトの対応を批判し、CMAの「立場は終始一貫していた」と主張。マイクロソフトはCMAの懸念に応じて計画を修正したものの、修正案は最初の調査中に提示するべきだったと断じ、「今回の件は、有望で有効な選択肢が存在するにもかかわらず、適切なタイミングでそれを選ばなかった場合、関係者にコストや、先行きの不透明さ、遅延が生じることを示している」と指摘した。
CMAは、マイクロソフトの修正案に関する協議を10月6日まで行う予定。最終決定は、マイクロソフトとアクティビジョンの合併契約延長期限である10月18日までに下される見込みだ。
マイクロソフトは2022年初め、アクティビジョンを約690億ドルで買収する計画を発表。それから1年以上たった今も、買収の完了に至っていない。買収計画については、ゲーム機「PlayStation」を販売するソニーなどの競合他社が反発。マイクロソフトはその後、任天堂やソニーといった競合とライセンス契約を結ぶなどして懸念の払しょくに努めた。
今年5月には、欧州連合(EU)が買収計画を承認。米国の連邦取引委員会(FTC)が買収阻止のため起こした裁判でもマイクロソフト側が勝訴しており、CMAの承認は買収実現への最後の大きな法的障害となっていた。
(forbes.com 原文)