ビジネス

2023.09.22 14:00

IPOで時価総額1.8兆円、米「クラビヨ」に注目すべき理由

クラビヨの共同創業者のアンドリュー・バイアレッキ(Photo by Barry Chin/The Boston Globe via Getty Images)

クラビヨの共同創業者のアンドリュー・バイアレッキ(Photo by Barry Chin/The Boston Globe via Getty Images)

マーケティング自動化サービスを展開する米Klaviyo(クラビヨ)は9月20日、ニューヨーク証券取引所に上場した。株価は、IPO価格の30ドルを9.2%上回り、終値ベースの時価総額は122億ドル(約1兆8000億円)となった。ブルームバーグは、同社のIPOがArmやインスタカートと並ぶ、ここ1週間で3社目の大型上場だと述べた。

この上場によりクラビヨの共同創業者のアンドリュー・バイアレッキとエド・ハレンの2人はともにビリオネアの仲間入りを果たした。

フォーブスの2023年版「クラウド100」の6位にランクインしたクラビヨは、オンラインショッピングの利用者にターゲットを絞ったEメールやテキストメッセージを送信するためのソフトウェアを販売している。昨年の売上高は前年比63%増の4億7300万ドル(約700億円)で、現在13万社の顧客を抱えている。

しかし、ボストンを拠点とする同社は、他のソフトウェア企業とは一線を画すかたちで存在感を高めてきた。まず言えるのは、クラビヨは収益を上げるまでの間、外部から資金を調達しなかった点だ。

そのため、共同創業者の2人はかなり多くの自社株を保有している。CEOのビアレッキは38.1%を保有しており、上場初日の終値に基づくと、彼の保有資産は38億ドル達している。一方、最高プロダクト責任者のハレンは、13.9%を保有し資産額は14億ドルに達している。

「私たちは2人とも、中小企業を経営する家族の出身なのです。そのため、まずはベンチャーキャピタルから資金を調達するというテック業界のやり方が変だと感じていたんです」とバイアレッキはフォーブスの取材に語った。

「ほとんどの中小企業は、ビジネスの原動力となる顧客を見つけるところから事業を始めます。創業当初に、エド(ハレン)と話をして、この方法でやっていこうと決めたのです」

バイアレッキとハレンは、2012年に会社を設立してから最初の3年間は外部からの資金調達を避けていた。クラビヨは、地元のVCのAccompliceが主導した150万ドルのシード調達を実施した時にはすでに、100万ドルの収益をあげ、黒字化を果たしていた。

小規模ビジネスのDNAを受け継ぐバイアレッキは、早くから効率性を重視すると同時に、独自のやり方にこだわった。「マクロ経済がどうであろうと、少人数で効率的に物事を進めるのが好きなチームなのです」

クラビヨは、IPOまでに総額4億5500万ドルの外部資金を調達したが、その大半はシリコンバレーのVC以外の投資家からだった。2020年のシリーズCを主導したアクセルを除き、同社の最大の支援者は、サミット・パートナーズ(22.9%を保有する筆頭株主)やサンズ・キャピタル、モルガン・スタンレーの投資子会社のCounterpoint Globalなどのプライベート・エクイティやクロスオーバー投資家たちだ。
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編集=上田裕資

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