このようなストレスが厄介なのは、それが集中力を削ぎ、ますます事態が悪い方向に転がっていくことだ。
現代のもの書きは集中力が保ちにくい環境のなかで書いている。ハリウッドのシナリオライターにアンケート調査をとった集計を見たことがあるが、彼らが集中力を削がれると悩んでいることの筆頭に挙げられているのが、インターネットをつい見てしまうということだった。
これはよくわかる。書いていると調べものをすることが頻繁にある。そのためにインターネットにアクセスする。ついでについふらふらと他のものも見てしまうという流れで、自分の書いているものに意識を戻すのが遅くなってしまうのだ。さらにストレスがたまってくると、ついいろいろなものに反応してしまい、心はさらに拡散していく。
グーグルが取り入れた瞑想プログラム
ただ、ストレスはフリーランスである小説家に限ったことではない。終身雇用や年功序列制度が崩壊しつつあるなかで働くビジネスパーソンも、感情的にもこみ入ったビジネスシーンは、厄介なストレスを抱え込む契機に満ちている。このような対処法として、ビジネスパーソンの間で「瞑想」がたいへんなブームになっている。ヨガや気功にも瞑想はあるが、いま世界的にブームとなっているのは、なんと言っても「マインドフルネス」だ。
代表的なものは、グーグルが人材育成のために取り入れた「サーチ・インサイド・ユアセルフ」という瞑想プログラムで、これが社内で普及し大人気となった。その後はグーグルのみならずシリコンバレーに、それからアメリカ全土に、そして世界のビジネスパーソンに愛好されるようになったわけである。
この瞑想プログラムがここまで流行ったのは、はっきりと効果があったからだ。日頃からこれを行い、重要な発表を明日に控えた前日に、いつもよりじっくり時間をかけて瞑想すると、絶大な効果があったという報告もされている。