北米

2023.09.23 14:00

米上院のドレスコード緩和に与野党反発 撤回の決議案提出へ

カジュアルな服装で登院したジョン・フェターマン米上院議員。2023年4月17日(Getty Images)

米民主党上院トップのチャック・シューマー院内総務(ニューヨーク州選出)が行った上院のドレスコード(服装規定)緩和が、与野党からの反発を生んでいる。民主党のジョー・マンチン上院議員(ウェストバージニア州選出)は、規定を元に戻す決議案を提出する予定だ。緩和の理由は、同党のジョン・フェターマン上院議員(ペンシルベニア州選出)のトレードマークとなっているカジュアルな服装を容認することだったとみられている。

上院議員は先週まで、議場で「ビジネス向け」の服装(男性はジャケットとネクタイ、女性はドレスかスーツ)が求められていた。シューマー院内総務は18日、議場の守衛に対して今後は議員の服装確認は不要だと通達したことを明らかにした。

その直後、リック・スコット議員(フロリダ州選出)率いる共和党上院議員46人はシューマー院内総務に宛てた書簡で、緩和の撤回を要求。民主党内でもマンチン議員の他、ディック・ダービン上院議員(イリノイ州選出)やマーク・ケリー上院議員(アリゾナ州選出)が緩和に異議を唱えた。

マンチン議員の決議案については、米政治専門紙ザ・ヒルが最初に報じた。同議員の広報担当者はフォーブスに対し、決議案は「上院のドレスコードを、これまで期待されていたものと一致させ続ける」ための超党派の試みだと説明。共和党議員49人全員と民主党議員少なくとも2人が賛成すれば、決議案は可決される。

服装規定の緩和は、フェターマン議員に合わせたものだと広く受け止められている。同議員は今年2月、うつ病の治療のため入院。退院後に復帰して以降は、ジャケットとネクタイの着用を拒み、短パンにトレーナーというカジュアルな服装で登院し、服装によるトラブルを避けるために議場の出入り口で投票を行っていた。

この服装規定は正式な規則ではなく慣例によるもので、ここ数年で何度か細かな変更が行われてきた。2017年には、女性による袖なしドレスの着用を容認。2019年には、頭髪を隠す宗教的な服装を認めた。

今回の規定緩和を受け、共和党議員からは怒りやあざけり、そしてウィットに富んだコメントが相次いだ。スーザン・コリンズ上院議員(メーン州選出)は、議場で「ビキニを着る」つもりだと冗談を飛ばした。一方、マージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州選出)は、規定緩和は「恥ずべき」ものと批判。ロジャー・マーシャル上院議員(カンザス州選出)は「上院の悲しい日」となったと嘆いた。

共和党のJ・D・バンス上院議員(オハイオ州選出)は21日、ウクライナのゼレンスキー大統領が米議会を訪問した際の写真をX(旧ツイッター)に投稿し、「シューマーがドレスコードを変えたことは知っているが、こんな服装をした人を上院議場に入れるなんて一線を超えている」とコメントした。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫・編集=遠藤宗生

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