ヘルスケア

2023.09.27 10:30

臨床研究で急速に進化するAIと機械学習、その現状と展望

すぐにでも始まる応用

近い将来にも、AIはすでに臨床研究に大きなインパクトを与えようとしている。

・データ分析
AIを活用したアナリティクスは、研究者が膨大なデータセットをより効率的に選別し、他の方法では明らかにならなかった貴重な洞察を発見するのに役立っている。

・文書化とカルテ作成
AIを組み込んだツールは、患者情報の文書化とカルテ作成という骨の折れる作業を支援して、医療従事者の管理作業負担を軽減する。

近未来のビジョン

臨床研究におけるAIの将来性は計り知れない。

・規制文書
AIアルゴリズムは治験薬申請(IND申請)プロセスを迅速化し、新薬や治療法の導入を加速させる可能性がある。

・プロトコル生成
生成AIプログラムは出版された文献、過去の臨床試験、複数の医学的情報源からの入力を用いて、臨床プロトコル(医療や臨床試験で特定の手続きや治療がどのように行われるべきかを詳細に定めたガイドラインや手順書)の初稿を迅速に作成することができる。

・患者/サイトの選択とマッチング
AIは、患者を臨床試験により効果的にマッチングさせることができ、募集と試験成功率を向上させる。

・安全信号の予測
予測AIモデルは安全性の懸念を予測し、有害事象が発生する前に回避できる可能性がある。

・デジタルツイン
AIによって作成および監視された患者の仮想イメージは、個々の健康に対するリアルタイムの洞察を提供し、個々に合わせた治療を容易にすることができる。バイオマーカーに基づく生物学的反応の予測は、臨床試験だけでなく医薬品製造にも応用できる。

FDAのリスク分類フレームワーク

臨床研究におけるAIに対するFDAのアプローチは、医療機器としてのソフトウェア(SaMD)が提供する情報の重要性と、医療の状況や状態を考慮に入れている。このアプローチでは、モデルの影響力や意思決定の帰結といった要素を考慮し、特定の使用文脈におけるモデルの信頼性の観点を重視する。
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翻訳=酒匂寛

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