ニジャールはなぜ狙われたのか
インド当局は昨年、ニジャールの逮捕につながる情報に報奨金を出すと発表していた。2007年にパンジャブ州の映画館が爆破され、6人が死亡した事件に関与したとしているが、ニジャールは嫌疑を否定していた。ニジャールは、インド国外内のシーク教徒にカリスタンの分離独立を支持するかどうかを問う非公式の住民投票を組織する団体に属していた。
この国際的な取り組みを促進する「パンジャブ住民投票委員会」は、住民投票を「パンジャブを解放する運動」と呼んでいる。この投票は法的拘束力をもたず、政府に対する権限もないが、すでに英国、イタリア、オーストラリア、カナダで実施されている。
主催者側はパンジャブ州での投票も望んでいるが、インド政府の許可を得られるかは疑問だ。2025年までに世界中での投票結果をまとめて国連に提出し、そこでカリスタンの独立を訴える考えだという。
直近の投票はバンクーバーで行われた。地元紙バンクーバー・サンは主催者側の話として、非常に多くの人が集まって数千人が投票できなかったことから、10月29日に2回目の投票日を設けなくてはならなくなったと伝えている。
分離運動に神経とがらせるインド
主催者側は、投票は平和的で民主的な取り組みだと説明している。だが、インド外務省の発表によるとモディはG20サミットでトルドーと会った際、これらの手続きは「カナダ国内の過激分子による反インド活動」だとして「強い懸念」を伝えたという。インド外務省は19日の声明で、ニジャールの殺害にインド政府が関与したとするカナダ側の非難は「ばかげており、意図があるもの」だと反発した。「インドの主権と領土の一体性を脅かし続けているカリスタンのテロリストや過激派」にカナダが避難場所を提供していると主張し、非難はそこから焦点をずらそうという試みだと断じた。
あわせて、インドに駐在するカナダ外交官1人を国外に追放する措置も発表した。カナダ側はこれに先立ち、インドの外交官1人を追放している。
(forbes.com 原文)