北米

2023.09.22 10:30

96歳の米国最年長判事、精神的な健康問題で停職処分に

Getty Images

連邦巡回控訴裁判所は9月20日、1984年のレーガン元大統領時代に任命された米国で最年長となる現職のポーリン・ニューマン判事を停職処分とした。裁判官によるパネルは、停職を拒否しているニューマンが、彼女に深刻な精神的な問題があるとする告発があった後、精神的な適性の関する調査に協力しなかったことを処分に先立ち説明した。

ワシントンD.C.拠点の裁判所の裁判官バネルが20日に発行した命令によると、96歳のニューマンは、少なくとも1年、あるいは裁判所が命令した健康診断を完了するまで、新たな裁判の審理に参加することができない。

ニューマンは、彼女に障害があるとする「合理的な懸念」を示す苦情があった後、医療検査を受け、医療記録を作成し、問診に応じることを要求する5月16日の命令に従わなかったと命令書は述べている。

パネルはニューマンについて「異なる結果を望んでいる」ことを示唆し、「本裁判所の判事が裁判官の義務を果たせなくなったと見なされた」場合、停職が必要であると付け加えた。

ニューマンの弁護団は今月、ニューマンには裁判所の職務を妨げるような「深刻な情緒的、内科的あるいは精神医学的障害はない」とする精神分析医の書簡を公表したが、パネルはその検査を、要求した検査の「適切な代替には程遠い」と評した。

「私たちはこれがニューマン判事の模範的で輝かしいキャリアににふさわしくない最後だと強く感じています」と裁判官パネルは述べている。

エディス・ジョーンズ判事は8月にウォール・ストリート・ジャーナルのためにニューマンを擁護する書簡を書き、その中で彼女を「私の友人」と紹介した。ジョーンズは、ニューマンは自身が所属する裁判所によって「判事生命を終わらせる停職」を「強制されている」と語り、それが「期限を設けず、法令や判例法をほとんど顧みない」ものであると述べた。ジョーンズは、不祥事による違反に対する「通常の適用」では、判事を別の巡回裁判所に移管する必要があり「なぜ通常のやり方に従わないのか不可解だ」と付け加えた。

連邦巡回公訴裁判所による調査は、3月にニューマンの「認知状態」に関する苦情を2通受け取った後に開始された。20回におよぶ裁判所職員との面談と、ニューマンが発信した電子メールに基づく調査は、ニューマンが記憶障害、理解障害、精神錯乱を含む「深刻な精神障害を経験している」という「明白な証拠」を示し「基本的業務を遂行できない」ことを明らかにした。

かつてニューマンは、職員が「策略的で、詐欺的で、彼女に対して敵対的で、彼女のコンピュータ盗み、彼女のファイルを盗む」と告発している。一部の職員はニューマンについて「敵対的」な暴言を吐きなから闘争的になると指摘した。ニューマンと弁護団は彼女に対する指摘を否定しており、5月には、裁判所が弾劾要求することなく彼女を「違法に」解任したのは憲法違反であるとして裁判を起こした。ニューマンは、調査を別の裁判所に移管することも要求している。

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

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