この動きは、正恩氏の妻、李雪主氏の働きかけのようだ。娘の扱いをどうするか決める権限があるのは、正恩氏夫婦しかいない。李雪主氏にしてみれば、健康に不安がある夫に万が一のことが起きた場合、何の公職にも就いていない子どもの行く末が気にかかる。早く、後継者としての地位を固めたいため、ジュエ氏を公の場所に出しているようだ。
この動きと対照的なのが、金正恩氏の実妹、金与正朝鮮労働党副部長の動静だ。与正氏は正恩氏のロシア訪問に同行したが、公式報道では一切名前が出てこない。朝鮮中央通信が公開した写真をみると、ようやくわかる程度の豆粒大の姿か、体が半分に切れているような中途半端な姿しか出てこない。高氏は「李雪主氏にしてみれば、何でも表に出たがる与正氏が目障りなのだろう」と語る。北朝鮮のロイヤルファミリーで公職に就いているのは、正恩氏と与正氏しかいない。与正氏の下で働く人間も多く、放っておけば、ジュエ氏に仇為す勢力ともなりかねないからだ。
高英煥氏はこう嘆いた。「庶民の暮らしそっちのけで、宮廷のなかで権力闘争を繰り返す。朝鮮王朝が繰り返してきた末期状態とそっくり同じだ」
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