メープルベアは、公開価格を1株30ドルに設定し、それに基づく時価総額は99億ドルだったが、株価は19日に12%上昇し、終値ベースの時価総額は110億ドル(約1兆6000億円)を突破した。
それでも現状の株価は、2021年3月に評価額385億ドルをつけた際の1株125ドルをはるかに下回る水準だ。2021年の調達ラウンドを主導したアンドリーセン・ホロウィッツやD1キャピタル、フィデリティ、セコイア、ティー・ロウ・プライスらは、2年前の投資から約73%の含み損を抱えている。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は、ティー・ロウ・プライスや、DSTグローバル、ゼネラルカタリストらが、それぞれ5000万ドル以上をインスタカートに投資し、少なくとも35%の含み損だと報じている。
とはいえ、インスタカートのIPOはいくつかの著名投資家たちを勝ち組にした。セコイアは、2013年に同社の850万ドルのシリーズAを主導したが、その当時の1株あたりの価値は0.24ドルで、約1万4000%のリターンを得たことになる。
セコイアが2013年に投じた金額は不明だが、同社はインスタカートの18%、つまり約20億ドル相当の株式を保有している。Yコンビネータやコースラ・ベンチャーズ、カナン・パートナーズらも、2012年の設立当初にシード資金を提供したが、彼らの出資比率は5%未満で、現状の持ち分がいくらかは定かではない。
インスタカートの3人の共同創業者らは、全員がIPOにあたって一部の持ち株を現金化した。提出書類によると、ブランドン・レオナルドとマックスウェル・レオナルドは780万株のうちの150万株をIPO価格の30ドルで売却し、それぞれ約4300万ドルを手に入れた。創業当初からCEOを務めたアプアバ・メフタは、2890万株のうち70万株を売却し、2100万ドルを手にした。
2021年8月にCEOを退任したメフタは、IPOにあたり現CEOのフィジー・シモに取締役会会長の座を譲り、会社を離れたが、現在の持ち株の価値は約13億ドルとされている。彼は、2020年6月にビリオネアの仲間入りを果たしていた。
WSJによると、2015年のシリーズCラウンド以降にインスタカートに投資した投資家のリターンは、ナスダックに投資した場合を下回っている。その当時、1株当たり13.31ドルでインスタカートに出資した投資家のリターンは約160%だが、同期間のナスダック総合指数の上昇率は190%だ。
(forbes.com 原文)