気候・環境

2023.09.21 10:30

ダムと洪水調節、気候変動への「備えなし」


ノースイースタン大学セキュリティー・レジリエンス・プログラムのディレクターでグローバル・レジリエンス研究所(GRI)の共同所長を務めるダニエル・オルドリッチ教授は、こう説明する。「発展途上国だけでなく西側諸国でも、物理的インフラの多くは費用対効果を重視した分析に基づいて建設されている。こうした分析では、気候変動によって増加する異常気象を考慮に入れていない」

2005年8月にハリケーン「カトリーナ」が襲来した米ニューオーリンズで起きた堤防の決壊や、2022年にパキスタンで発生した壊滅的な洪水も、気候変動と準備不足によって異常気象の被害が拡大した事例だ。

ガングーリー教授は、米カリフォルニア州で起きた豪雨災害を例にとり、次のように話している。「2021年、深刻な干ばつに見舞われたカリフォルニアでは、長期的かつ非常に厳しい被害が予想されていた。そこへ上空に『大気の川』が発生し、大量の水蒸気が流入して豪雨をもたらした。このように、長期的には水不足に直面している地域でも突然、大洪水に襲われることがある。この干ばつと大洪水のサイクルは、気候変動の観点からも、インフラや人間工学に基づいたシステムとどう関わってくるかという点でも、私たちが対処しなければならない問題だ」

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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