食&酒

2023.09.21 12:30

今はもう味わえない懐かしのたこ焼き プロゲーマー東 佑丞の推しメシ

プロゲーマー東 佑丞の推しメシは、豊中市・岡町商店街にある「とくや」のたこ焼き(写真はイメージ: Getty Images)

プロゲーマー東 佑丞の推しメシは、豊中市・岡町商店街にある「とくや」のたこ焼き(写真はイメージ: Getty Images)

社会で活躍するリーダーや、著名なビジネスマンのパワーの源は何なのか?彼らのパワーフードから探るシリーズ。

東 佑丞さんは、2003年生まれの20歳。小中学校での不登校を経て、高校生時代の2019年、第一回高校生eスポーツ大会「STAGE:0」のフォートナイト部門で6位に入賞し、翌年、高校在学中にゲームトレーナーとして本格的に活動をスタートした。

現在は、ハンドルネーム「くろむ」として、プロのゲーマー兼ゲームトレーナーとして活躍中。親世代がゲームに抱くネガティブな印象を変えるため、親子で一緒にゲームをしてコミュニケーションを深めてもらうイベントも開催している。Forbes JAPANの2021年「30 Under 30 JAPAN」において、「世界を変える30歳未満」30人に選出されるなど、次世代のオンラインゲーム普及を牽引する人物だ。

そんな東さんの推しメシは、故郷である大阪・豊中市の岡町商店街にある「とくや」のたこ焼き。

「全く粉っぽさの無い生地に、大粒のたこが入っていて食感もバッチリ。少し濃いめのソースに、豪快にかけられたマヨネーズと青のり、鰹節が絶品でした。焼き加減も、自分好みに調整してくれるのが嬉しかった! 大阪育ちの私は、数多くのたこ焼きを食べてきましたが、問答無用でここのたこ焼きが一番です」(東さん、以下略)

きっかけは小学3年生の頃、書道好きのお父様に連れられて、自宅近くの書道教室へ毎週日曜日に通い始めたことから。

「朝9時、教室に向かい、お腹が空き始めるお昼過ぎには帰るのですが、その帰り道に商店街を通って帰ります。色々なお店があるなか、住宅街へ向かう細い脇道にぽつんと佇むたこ焼き屋に目が留まりました。子供だった私は、こういう隠れたところにあるお店にワクワクして。それ以来、日曜日のお昼ご飯に『とくや』のたこ焼きを食べるのが、楽しみになりました」

東さんにとって忘れられないのは、たこ焼きの味だけでない。いつも陽気に話しかけてくれた、店主のおっちゃんこと川越さんは、さすが大阪人と言わんばかりの弾丸トークで、楽しませてくれたという。

「両親にはあまり関西弁が出ないのですが、おっちゃんとの会話で、私は関西弁をマスターできたように思います(笑)。たこ焼きの個数をおまけしてくれたり、こっそり一つのたこ焼きにたこを2個入れてくれたりと、本当に人の良いおっちゃんです。

創業58年で、そのうち46年間お店に立ち続けてきたおっちゃんのたこ焼き作りは、まさに職人技。店内のイートインスペースで待つのですが、たこ焼き作りの様子を真横で見るのも楽しみでした。テレビでたまに、たこ焼きをひっくり返すのがめちゃめちゃ早い人が紹介されてますが、恐らく『とくや』のおっちゃんには敵わないでしょう」

幼少期の忘れられないおふくろの味は、共働きだったご両親に代わり、おばあ様が作ってくれた鰈(かれい)の煮付け。

「母は夜6時以降、父は深夜に帰宅する家庭環境だったので、学校帰りには祖母が作る夕食を食べて育ちました。そんな時、よく作ってくれたのが鰈の煮付けでした。祖母曰く、魚の煮付けは焼魚より簡単らしく、甘めが好きだった私の好みに合わせてお砂糖を多く入れて作ってくれたものです」

食に関して、実はこだわりが無いという東さん。

「好きなものはあるけど、こだわるほど大事ではない、みたいな感じの人間なんです。学食のなかった学生時代、周りは手作り弁当や購買のパンなどを食べているなか、昼食を簡単に早く済ませたい私は、カロリーメイトやブラックサンダー1個といった携行食で1日を過ごしていました。これで満足して、エネルギー不足を感じないのですから、低燃費でいいかも知れませんね(笑)」
次ページ > 断食までして臨んだ一期一会の味

文=中村麻美

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事