チタニウムボディ採用のProは19グラムも軽くなった
今年はアップルのiPhoneが2008年に日本上陸を果たしてから15年の節目になる。iPhoneは世界中にスマートフォンの普及を牽引してきたが、最近ではiPhoneだけでなくスマホを取り巻く技術革新が踊り場に入ったともいわれている。だがそれでもデジタルテクノロジーは前進を続ける。今秋にアップルが発売するiPhone 15 Proシリーズには、3ナノメートルのプロセスルールによる最先端の半導体製造技術を駆使して作られた「A17 Pro」チップが載る。その革新性をアップルは殊更に強調せず、むしろ新しいiPhoneがユーザーのコミュニケーションを助けて、創造性を刺激する実用的な機能を前面に出してアピールしているようにも見える。
特にiPhoneはプロダクトデザインに惹かれて買い求めるユーザーも多い。2023年のラインナップは上位のiPhone 15 Proシリーズがボディにチタニウム合金を採用。レギュラーモデルのiPhone 15シリーズは背面ガラスに色を埋め込んで、表面を美しいマット仕上げにしたカラーインフューズドガラスとした。
チタンは軽さに比べて強度に優れる金属だが、ステンレススチールなどに比べるとキズがつきやすいともいわれる。アップルは過去にMacBookやApple Watchでチタンボディを採用してきた経験値を踏まえて、iPhone 15 Proシリーズには金属そのものの色と艶を出しながら表面を強化するPVD(Physical Vapor Deposition)コーティングを施した。PVDコーティングは切削工具の金属部分などにも使われる。
手もとの実機で筆者自ら耐久テストを試みるわけにはいかないが、同じチタニウムをケースに採用する筆者のApple Watch Ultraが、使用開始から約1年経っても表面に目立つキズができていないことを代わりに報告しておきたい。
PVDコーディングをかけて強度を高めたiPhone 15 Proの側面フレーム。ナチュラルチタニウムよりもブルーチタニウム、ブラックチタニウムの方が指紋の付着は目立ちにくいようだ