Unityは先週、開発者に対してゲームのインストール1回ごとにエンジン使用料を請求する新料金体系を発表。インディーゲーム開発者の間で衝撃が広がり、多くの開発者がUnityの利用中止を表明した。
Unityはこの直後、新体系について改めて説明するとともに、方針の一部変更を表明したが、それでも火消しには至らなかった。当初の発表では、同じゲームの再インストールもすべてカウントすると説明されていたため、悪意を持ったユーザーがインストールと削除を繰り返して開発者に嫌がらせをするのではとの懸念が浮上。Unityはこれを受け、初回インストールのみを数える方針に変更した。
また、違法コピーされた「海賊版」ソフトがインストールされた場合には、それを検知する独自のツールがあると説明したが、開発者はそれが実際に機能することを信じるしかない形となっている。さらに、多数のゲームをセットにして格安に販売し、その売り上げを慈善活動に寄付する「チャリティーバンドル」は課金対象とならないと説明したが、そのためには開発者がこうしたバンドルについてUnityに通知する必要があるとした。
Unityは17日夜にX(旧ツイッター)で行った投稿で「混乱と不安」を招いたことを謝罪した上で「方針変更」の意向を表明。数日以内に改めて発表を行うとした。
だが、自分たちの怒りが「混乱」という言葉で片づけられたことに、開発者の多くが反発。また、発表には何を変更するかの具体的な説明はなく、単に料金や課金条件が引き下げられる可能性もある。
Unityは新料金体系を発表した瞬間に、多くの開発者を失った。開発者は今後、このような決定を下す会社のエンジンを使ったゲーム開発に何年もの期間と多額の資金を投じるべきかどうかを考えさせられることになる。Unityはさらに、新料金体系をこれから開発されるゲームのみならず、すでに自社製エンジンを使用して発売されたゲームにも遡って適用しようとしていた。
開発者が最低限望んでいるのは、新料金体系の撤回と現在の仕組みの維持だ。ただ、開発者が請求される料金が何らかのかたちで増えることは避けられないだろう。そもそも、料金体系の変更はそれが目的だったのだから。Unityが新料金体系で狙っていたのは、自社製エンジンで作られた大人気の中国産ゲーム『原神(Genshin Impact)』などの大作から巨額を得ることだったという説もあるが、それでも他の無数の開発者がこれに巻き込まれている。
Unityが開発者の信頼を取り戻すことは、もはや難しいだろう。社内でこの決定を下した人物は誰も辞任していないし、新料金体系が完全に撤回されたわけでもない。仮に撤回されたとしても、今回のような改悪が今後も行われる可能性がある。新方針が過去の作品にさかのぼって適用されるのであれば、それは新たなレベルのリスクとなる。開発者の多くは、Unityエンジンで絶対に現在のプロジェクトを進めなければいけない理由がない限り、その利用を永久にやめるのではないか。もしUnityに開発者への償いをする意思があるのなら、並々ならぬ努力が必要となるだろう。
(forbes.com 原文)