ヘルスケア

2023.09.18 11:30

米コロナ感染者の2割に後遺症 新ワクチンが予防に役立つ可能性

Shutterstock.com

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米国ではこのところ、新型コロナウイルスへの感染が再び増加している。米疾病対策センター(CDC)によると、新型コロナ関連の死者は9月第1週に10.5%増加した。より感染力が強く、人々がすでに取得している免疫を回避できる新しい変異株が広まることで、感染者や入院患者、死者の数は秋から冬にかけてさらに増加する恐れがある。

しかし先週には、ファイザーとモデルナが開発した新型コロナワクチンの更新版が米食品医薬品局(FDA)の承認を得ており、これが感染拡大のみならず、後遺症を含む深刻な合併症を防ぐのに役立つ見込みだ。CDCの最近の発表によると、米国で新型コロナに感染した成人のうち、ほぼ5人に1人(19%)が今も後遺症に悩まされていると推定されている。

後遺症は時に深刻な影響をもたらす問題であり、更新版ワクチンの接種を受けるべき理由となる。以前は健康で活動的だったのに、新型コロナの後遺症で重度の疲労が続き、散歩にも行けず、子どもの世話もできないことを想像してみて欲しい。あるいは、記憶力や集中力が低下する「ブレインフォグ(脳の霧)」が何カ月も続き、仕事ができない状態に陥ることもある。こうした症状に悩まされている人は米国で1500万人、世界では6500万人に上ると推定される。

更新版ワクチンは何が違うのか?

米国では2023年5月時点で、人口の81.4%が新型コロナワクチンの接種を少なくとも1回受けている。しかし、新たな変異株が出現し続けているため、当面は更新版ワクチンを毎年接種する必要がある可能性が明らかになっている。これは、インフルエンザや新型コロナのようなRNAウイルスでは珍しいことではない。RNAウイルスは、変異して人々の免疫を回避することが知られている。

昨秋のブースター接種(追加接種)用ワクチンは新型コロナのオリジナル株とオミクロン系の変異株BA.4/5の両方を標的とする2価ワクチンだったのに対し、最新のワクチンは1価、つまり単一の変異体(オミクロン株のXBB.1.5系統)に対応している。昨年のブースターで対応していた株と比較して、最近のオミクロン株の亜系統には変異が多数存在するため、今回の更新が必要となった。これは、ウイルスが新たな変装をしたようなもので、以前の株を見つけて破壊するために体が産生した抗体では認識できなくなっているのだ。

米国ではこの夏、更新版ワクチンが対応しているXBB.1.5が、すでに「EG.5」(通称エリス)「XBB.1.16」(アークトゥルス)「BA.2.86」(ピロラ)などの他のオミクロン株亜系統に置き換わったが、最近の研究データでは、更新版ワクチンが現在主流となっている変異株に対しても、より強い免疫反応を引き起こすことが示されている。
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翻訳・編集=遠藤宗生

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