米国のブランドが中国の企業や消費者に人気があることからわかるように、中国を経済的に苦境に陥れようとする試みは論理的にブーメランのような性質を持つ。中国人が苦しめば、米国人も苦しむ。
これらのことから、アップルの時価総額急落のもう1つの潜在的な原因が見えてくる。ジーナ・レモンド米商務長官が最近中国を訪問したのに合わせて、深センに本社を置くファーウェイ・テクノロジーズは新型スマホMate 60 Proを発表した。誰の目から見ても巨大な中国マーケットで浸透しているアップル製品に遜色のないスマホだ。Mate 60は、iPhoneの使用が禁止されようがされまいがアップルが将来、中国でこれまで以上に手ごわい競争に直面する可能性があることを示唆している。
さらに、ファーウェイの最新スマホの非常に高い品質は、米国の従来の考えとは異なり、ファーウェイが中国共産党によって運営されていないことをはっきりと示すものでもある。実際、これまでに国有企業が世界で最も価値の大きな企業と品質面で競い合ったことがあるだろうか。
アップルの世界最大の企業価値はいま、少なくともいくらか疑問視されている。そして、その疑問は政治に根ざしている。中国と米国の企業で働く人々が、米国人と中国人のニーズを満たすために熱心に働き続ける一方で、政治指導者たちは、イノベーターは信頼できない政府の工作員だと非難するなどして政治的な色合いを強めている。国民がこの主張を打ち負かすことを願おう。そうでなければ「閉ざされた」世界経済は、国民も政治家も好まないようなかたちで存在感を強めることになるだろう。
(forbes.com 原文)