この制度の売りや申し込み方法を紹介しよう。
最長3カ月受け入れ
オロライは自然豊かなサルデーニャ島の中央部にある村で、太陽の光が降り注ぐ広場があり、テラコッタ瓦を使った屋根の家々のまわりには木々に覆われた谷がある。イタリアの多くの小さな町がそうであるように、過疎化と経済停滞に悩まされてきた。この100年間で住民の数は2250人から1300人に減少した。海岸線から遠く離れているため、島の美しい砂浜に押し寄せる観光客の恩恵も受けられない。
ここ数年、イタリアの多くの田舎町は、新しい住民を呼び込むために家を1ユーロ(160円弱)で売る策をとった。オロライもそうした町の1つだ。「それは大成功だった。多くの外国人が見捨てられた何十軒もの住宅を購入し、改装した」と首長のフランチェスコ・コロンブは米テレビCNBCに語った。
オロライは今年、地域社会を盛り上げるために、このところずっと人気のあるリモートワークのトレンドを利用することにした。「ワーク・フロム・オロライ」と命名されたこのプロジェクトは、2万ユーロ(約315万円)を投じて村をデジタルノマドの拠点にするというものだ。
今後2年間、オロライはデジタルノマドを1回につき1人、最長3カ月受け入れる。この3カ月というのは、非欧州人がビザなしで滞在できる最長期間だ。
オロライに初のデジタルノマド到着
パーティスはこのほど、オロライでの冒険を始めるべくサルデーニャ島に到着した。差し当たって1カ月過ごす予定だが、滞在を延長する可能性もある。「場所を変える必要があると感じていた」とパーティスはCNBCに語った。「しかし観光地ではなく、自然や新鮮な空気、山々、美しいビーチに囲まれた場所で、より多くの安らぎ、平和、そしてゆっくりとした暮らしを見つけることができる」パーティスはトリュフのような新鮮な食材目当てにファーマーズマーケットに行くのを楽しんでいるという。
パーティスのようなリモートワーカーは、動物とともに床に寝ていた農家や羊飼いがかつて住んでいた家に滞在する。その住居はデジタルノマドのために改装され、オフィスと高速インターネットが完備されている。
この制度の参加者は費用をほぼ払わなくていい。家賃や光熱費、市民税はかからない。だが、交通費や航空券は自己負担だ。
申し込み時の留意点
もしあなたがリモートワーカーで、数カ月間生活を変えたいと考えているなら、12月末までにオロライの制度にネットで申し込むといい。オロライの無料宿泊にはちょっとした注意事項がある。
「これは無料で提供される休暇ではない」と「ワーク・フロム・オロライ」制度を管理する地元文化協会サ・マタの代表であるベロニカ・マッタはいう。「デジタルノマドとしてのキャリアをまず証明してもらう。そして滞在の最後に、会議やエッセイ、研究論文、ドキュメンタリーなどの実績を残さなければならない」とマッタはCNBCに語った。
「テクノロジーやメディア、金融、不動産、建築、さらには芸術家、作家、音楽家、科学者、学者など、あらゆる分野のプロのリモートワーカーに応募してほしい」
マッタによると、参加者に求められるのは村の文化を豊かにする「知識の衝撃」を残すことに同意することだという。
(forbes.com 原文)