『ONE PIECE』続編のスピード決定、ネットフリックスの珍しい英断に

Skorzewiak / Shutterstock.com

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ネットフリックスの新作ドラマでは通常、配信が始まってから第2シーズンの製作が決まるまでに数週間、さらには数カ月かかることもあり、ファンはそれまで不安な日々を強いられる。しかし『ONE PIECE』の場合は、第1シーズンの配信開始からわずか2週間で継続が決定した。

発表は、原作者の尾田栄一郎による茶目っ気たっぷりの映像で行われた。

今回の発表には少々奇妙なところがあった。発表されたのは「続編」で、ネットフリックスの発表文には「シーズン2」という言葉は出てこず、3シーズン以上続く可能性もにおわせている。ただし、尾田栄一郎氏の発表映像には「シーズン2」というテキストがある。

私はこれまで何度も、ネットフリックスが有望な番組をむやみに打ち切り続けていることを批判してきた。だがネットフリックスは、『ONE PIECE』については、賢く正しい決断をすばやく下した。

私は以前から、ネットフリックスは今、新しい人気シリーズとなるものを真剣に探しているのではないかと推測してきた。その理由は2つある。1つ目は、『ストレンジャー・シングス 未知の世界』や『YOU ─君がすべて─』といった看板シリーズが間もなく終了すること。2つ目は、競合他社のように、人気が確立したIP(知的財産)をあまり所有していないことだ。

ディズニーには一連のマーベル作品と『スター・ウォーズ』がある。アマゾンには『指輪物語』が、ワーナー・ブラザースにはDCコミックスと『ハリー・ポッター』がある。こうした中、ネットフリックスは他の選択肢を模索しなければならない。不朽の名作である漫画とアニメが原作の『ONE PIECE』は、手はじめとしてはうってつけなのではないか。

私は前回の記事で、『ONE PIECE』のプロデューサー2人に対するインタビューを紹介した。2人はその中で、第2シーズンだけでなく、少なくとも6シーズンの計画があると説明。原作がほぼ無限にあることから、12シーズンの製作を希望しているとも語っていた。

『ONE PIECE』は決して安上がりの番組ではないが(実物大の海賊船セットがつくられたことをみなさんは知っていただろうか?)、それでもネットフリックスによるさらなる投資を正当化できるほどの実績を残した。視聴数が史上最多を更新するなどのレベルにはまだ至っていないものの、ネットフリックスはこの作品を自社最大級のシリーズにしようとしているのではないだろうか。

『ONE PIECE』と同じ制作会社が手がけた『カウボーイビバップ』の実写化がうまくいかなかったことから、ネットフリックスは今回の大成功を喜んでいることだろう。そもそも、『ONE PIECE』は『カウボーイビバップ』よりも素材として優れていると言えるかもしれない。より新しく、ストーリーも無限大にある。それに、実写版のキャスト、脚本、演出はどれもすばらしかった。ストリーミング業界ではまれな清々しいサクセスストーリーとなったことは間違いない。

forbes.com 原文

翻訳・編集=遠藤宗生

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