2023.09.17 12:00

新型センチュリーは「海外を狙う」のにふさわしいか

97年には、デビューした初代とほぼそっくりな2代目モデルが登場し、なんと5.0リッターV12エンジンが搭載された。この非常に珍しいエンジンは日本の自動車メーカーが製造した唯一の12気筒パワーユニットなのだ。

わずか5年前の2018年、トヨタは3代目センチュリーを発表したが、それはV8ハイブリッドを搭載し、1967年のオリジナルモデルから引き継いだキープコンセプトで、保守的なルックスでの登場だった。

イベント会場では歴代のセンチュリーが展示されていた。手前は初代のセンチュリー。イベント会場では歴代のセンチュリーが展示されていた。手前は初代のセンチュリー。

60年代後半の発売以来、ほとんど変わっていない日本車があるとすれば、それはセンチュリーしかないだろう。理由は簡単だ。このリムジンを愛用する有力者たちが、変わってほしくないと思っているからだ。

しかし、今年、衝撃のSUVスタイルのセンチュリーがデビューした。そのまったく新しいデザインは、保守的なサルーンモデルとはまったく異なる方向性を打ち出している。

環境問題に真剣に取り組んでいることを示すため、トヨタはセダン仕様のV8ハイブリッドは継承せず、3.5リッターV6プラグイン・ハイブリッドのパワートレインを選択した。また、この車重2.6トンもある重めのセンチュリーのハンドリングをできる限り快適にするために、4輪駆動と4輪操舵が組み込まれた。

500人を超えるメディアや業界関係者が大勢集まったこともさることながら、私がこの発表会で最も興味をそそられたことのひとつは、水素燃料電池車「ミライ」のチーフエンジニアである田中義和氏が、新型センチュリーの3人のトップエンジニアのひとりとして紹介されたことだ。

つまり、トヨタは時期を見てセンチュリーに燃料電池車を追加することを真剣に考えているということだ。もちろん、トヨタ関係者にそんな質問をしても、はっきりした応えは返ってこないけどね。
次ページ > リムジンではなく「4人乗り」。

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事