2023.09.21 18:00

メルセデス・ベンツ グループ会長が語る、EVと最高級カテゴリーの重要性

──ICE(エンジン車)の未来についてはどう考えていますか?

「私たちの到達点はゼロエミッションです。これから10年かけて完成形へともっていくことになると思いますが、その間、ハイテクICEとバッテリーEVが共存していくことになると思っています。私たちのICEのテクノロジーは、これからも時代を牽引していくと思います。並行して、いま、AMGで"EA"なる電動車のためのアーキテクチャーを構築しており、2026年の発表を目指しています。クルマが登場したら、圧倒的なパフォーマンスを体験していただけると思います。私たちは、時代に合わせて先へと進んでいます。そのさき、目指す未来が完成するのはいつか。具体的な日時はまだお答えできませんがが、プロダクトとして”未来”が登場すると、体験した顧客はみな”これじゃなきゃダメだよね”と思ってくれるはずです」

──トップエンドセグメントとBEVは将来的に重なるものでしょうか。

「そうですね。メルセデス・ベンツのマスターブランドととらえられているモデルも、これからすべて電動化していくことはたしかです。同時に、これからますますトップエンドセグメントの取り組みを強調していくことが重要になってきます。ピラミッドの頂点にあるものをショーケースするのに、世界中からエクスクルーシブなお客様がいらっしゃる、本当に特別な場所である銀座の拠点は、トップエンドセグメントにいちばんふさわしいと思います」

──ケレニウス会長はメルセデス・ベンツを表現する際に「Most Desirable Car(もっとも魅力的なクルマ」という表現を使いますが、どのような意味を込めていますか。

「エモーショナルとインテリジェンスという両極を併せた持ったモデルこそ、私たちが目指すものです。そして、ゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツが、クルマづくりを始めた19世紀から、もっとも需要が高いクルマづくりをめざすという考えを、私たちは引き継いでいるのです。いいものを作っても、そこで満足してしまうのではなく、さらにもっとよく出来るのではないかと考える。次へ次へと進んでいくことが、私たちの精神です。メルセデス・ベンツの製品は、A地点からB地点へ行けるけれど、価値は移動だけではありません。私たちの製品でなくては得られないものがあります。メルセデス・ベンツ車を購入したひとにとって、ハートとマインド、言い換えれば、情緒とインテリジェンスに訴えかけるものこそ重要と考えます。それがMost Desirable Carの真髄なのです」

Photographs by Tsukuru Asada(MILD)| Text by Fumio Ogawa|Edit by Tsuzumi Aoyama

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