「日本市場はとても先進的、革新的です。日本で最初に実施された施策が、追って、世界的に実施されることもよくあります。そのひとつが、電気自動車専売拠点の設置です。エレクトリックモビリティの重要性を鑑みて、専用のショールームをいちはやく作り、情報感度の高い日本のお客様に向け、(死角のない)360度の専門性を持って接しています。10月には東京・青山に2拠点目の電気自動車ショールームがオープンしますので、ぜひ一度足を運んでください」
──脱炭素に向けて、「Ambition2039」ではこれまで数十億ユーロを投資されていますが、本社の投資計画もかなり大胆ですね。
「私たちはバリューチェーン全体でカーボンニュートラルをめざす”Ambition 2039”を策定して行動しています。これは、(2050年のカーボンニュートラル化に向けた地球温暖化対策の国際的な枠組みである)パリ協定よりも11年早い目標設定です。企業としてはすでに2022年に生産工程におけるカーボンニュートラル化を実現していますし、今後も、充電網の拡大など、世界規模でインフラ構築に多額の投資を行います。このさき2030年には、市場が許すかぎり100パーセント電気自動車化、そして最終的に、2039年にバリューチェーン全体でカーボンニュートラルをめざします」
──いっぽうで、ケレニウス会長は、トップエンドセグメントをさらに強固にすることにも熱心だと聞きます。いまインタビューを行っている、晴海通り沿いの「スターズ@メルセデス・ベンツ銀座」も、22年12月にオープンした、いわゆるハイエンドモデル専売拠点ですね。
「私たちには世界をリードするラグジュアリーカー企業であるという自負があります。現在、ラインナップをピラミッドのように捉えています。ボトムラインはエントリーレベルのラグジュアリー。GLAとかGLBが属するセグメントですね。そのうえが、ボリュームゾーンのコア・ラグジュアリー。CクラスやEクラスのセグメントです。ここもこのさき電動化がはかられていきます。
ご質問にあったトップエンドセグメントは、その上です。Sクラス、GLE、GLS、さらにメルセデスAMGモデルやGクラスもここに入ります。ここは、メルセデスにとってコアになる部分であり、利潤の高いセグメントでもあります。もちろん、このセグメントも、電動化を考えています。さらに、リミテッドエディションを出していこうと思っています。たとえば、2022年6月に、F1技術を搭載した公道走行可能なプラグインハイブリッドのハイパーカー、メルセデスAMG ONEを発表しました」