2012年にオバマ政権下で導入されたDACAは、全米で50万人を超える「ドリーマー」と呼ばれる移民の子どもたちを苦境から救うことを目的としている。しかし、共和党が多数派を占めるテキサス州の地裁は、2021年にこの制度を違法と判断し、新規申請の受け付けを停止するよう命じていた。
米国では他にも複数の州が、この制度が連邦規制法に違反し、州に教育や医療などの費用負担を強いると主張していた。
バイデン政権は、このプログラムを連邦法に成文化しようとしているが、テキサス州のアンドリュー・ハネン連邦地裁判事は、この試みが行政手続法に違反していると断じた。
しかし、DACAがただちに廃止される恐れはなく、現在の対象者は判決の影響を受けない見通しだ。バイデン政権はこの判決を不服として上告し、保守派が多数を占める最高裁判所に持ち込むと見られている。
テキサス州のハネン判事は、DACAの対象者に同情的であるとしながらも「以前からこのプログラムの合法性について懸念を表明してきた」と述べた。バイデン政権は昨年、DACAの法的地位を強化する新たな規制を打ち出したが、地裁はそれでも法的な欠陥は是正されていないとの見解を示した。
DACAは、子どもの頃に米国に連れて来られた移民が、米国で生活し、働き、教育を受けられるようにするために創設され、今年3月には、約58万人の移民がこのプログラムに登録されていた。
連邦控訴裁判所は昨年10月、テキサス州連邦地裁による2021年の判決を支持したが、バイデン政権がこの制度を連邦法に成文化しようとしたことを受け、地裁に見直しを命じていた。
メタのCEOのマーク・ザッカーバーグは、2017年にトランプ前大統領がDACAの廃止を宣言した際に、それに反発し、ドリーマーの若者3人と自宅で対談を行い、その様子をフェイスブックライブで配信していた。
その当時、ザッカーバーグをはじめセールスフォースのマーク・ベニオフCEOや、マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ、YouTubeのスーザン・ウォシッキーCEO、故スティーブ・ジョブスの妻のローレン・パウエル・ジョブズなど、シリコンバレーの大物がDACAの存続を訴えていた。
(forbes.com 原文)