ロサンゼルス一帯を中心とするカリフォルニア南部では現在、集団で小売店に押し入って商品を盗むフラッシュ・モブ強盗、通称「フラッシュロブ(flash rob)」が多発している。これにより、高級住宅地ビバリーヒルズにある小売店が軒並み閉店に追い込まれ、警察が本格的な対応を余儀なくされている。
ロサンゼルス一帯の小売店が、犯罪の急増に悩まされている。特に2023年8月は、市全域で衝撃的な事件が相次いだ。これを受け、小売店を狙った犯罪を専門とする特別対策本部が立ち上げられた。
この特別対策本部は、ロサンゼルス市警察、ロサンゼルス郡保安局、米連邦保安官局(USMS)検挙特別捜査班、米連邦捜査局(FBI)検挙特別捜査班で構成されており、配属された専門捜査員22人が、小売店を狙った窃盗事件の急増に立ち向かっている。
特別対策本部の立ち上げが発表された当日も、百貨店メイシーズがフラッシュロブによる強盗被害に遭った。市内北部シャーマン・オークスの「ウェストフィールド・ファッション・スクエア・ショッピングセンター」にある同店に、フードをかぶった窃盗集団が押し入って商品を強奪し、2台の車で逃走したのだ。
警察はフラッシュロブを厳しく取り締まっており、窃盗犯が次々と逮捕されている。例えば8月13日には、イースト・ロサンゼルスにあるナイキ直営店で強盗を働いた窃盗犯6人が乗っていたSUV車が警察に止められ、盗んだ品物が車内で発見されて逮捕された。
9月1日には、カリフォルニア・ハイウエイ・パトロール(CHP)が、推定20万ドル(約2940万円)相当の盗品を押収した。それらは主に、Victoria's Secretと、ドラッグストアチェーンCVSから盗まれた商品だった。
特別対策本部の立ち上げに併せて、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事は8月半ば、ロサンゼルス市においてCHPのリソースを活用すると発表していた。
「カリフォルニア州は、多額の資金を投じ、組織的犯罪を取り締まっている。さらなる助けが必要な地元自治体などに対しては、支援する用意がある」ニューサムは声明でそう述べている。
ロサンゼルス全域でフラッシュロブが急増
小売店を狙った最近の組織的犯罪では、百貨店のNordstromも被害に遭っている。8月12日には「ウェストフィールド・トパンガ・ショッピング・センター」内の同百貨店に、覆面姿の強盗30人以上が押し入り、30万ドル(約4400万円)相当の商品を強奪した。この事件を受け、ノードストロームの最高経営責任者(CEO)を務めるエリック・ノードストロームは「トパンガで発生した事態は、確かに衝撃的なものだ。どのような場合でも、従業員と買い物客の安全が何よりも重要だ。しかし、損害についても案じている」と強い口調でこう述べている。