欧州の規制では携帯電話に関して、電磁波が一定時間内にどれだけ人体に吸収されるかを示す「比吸収率(SAR)」を、手に持った状態かポケットに入れた状態で4W/kg(ワット毎キログラム)までに制限している。だが、フランスで国民の電磁波ばく露を監視している機関である国家周波数庁(ANFR)が調べたところ、iPhone 12では5.74W/kgと測定されたという。
アップルは法務関係の資料で、iPhone 12のモデル番号「A2172」(米国向け)「A2402」(カナダ、日本向け)「A2404」(中国本土、香港、マカオ向け)「A2403」(その他の国や地域向け)「A2405」について、適用される制限の検査に合格していると説明している。
ロイターによると、アップルは声明で、iPhone 12から放出される電磁波が国際基準を満たしていることは複数の国際的な機関によって認定されていると述べた。フォーブスはANFRとアップルにコメントを求めている。
電磁波による健康への影響は?
世界保健機関(WHO)によると、携帯電話で使われているような低レベルの非電離電磁波(分子や原子の電解を起こさない電磁波)に関連した健康上の懸念はないことが、これまでの研究で示されている。一方で、WHOはいっそうの研究が必要だとも指摘している。欧州連合(EU)は、送電線によって強い電磁場にさらされた子どもは、そうでない子どもよりも白血病の発症リスクが高いという研究結果に基づいて、極低周波の電磁波は発がん性がある可能性があると結論づけている。
極低周波の電磁場は携帯電話からも放射されるが、EUの別の研究では携帯電話の使用でがんのリスクが高まることはないという結果だった。
米国では連邦通信委員会(FCC)が各携帯電話メーカーに対して、携帯電話を最高出力で動作させた状態でさまざまな姿勢のダミーの頭や体に装着させ、高周波ばく露のテストを行うことを義務づけている。もっとも、実際は携帯電話を最大出力で動作させることはめったにない。
米国立がん研究所(NCI)によれば、1980年代から90年代にかけて発電所の運転や電話線の敷設など電気関係の職に就いていた人は、いくつかの種類のがんの発症率が予想以上に高かった。だがより新しい研究では、電気関係の仕事をしている人のがん発症リスクが高くなるという結果は示されていない。
アップルは、フランスのiPhone 12販売中止命令と同じ12日、最新機種の「iPhone 15」シリーズを発表している。
(forbes.com 原文)