借金に頼らざるを得ない場合も
ここで厄介な問題が出てきます。先に組成したファンドで大型のイグジットを迎える企業が出てきていない場合、このような連続したコミットメントを行うための流動的な資金をGPが持っていないことがあります。そのため、結果的に借金に頼らざるを得ないGPも珍しくありません。個人ローンや、他の資産を担保にした借入でコミットメントの義務を果たすのです。GPとして多額の資金を管理しながらも、自身は不安定な経済状況を綱渡りで乗り切っているということです。「持つ者」と「持たざる者」の世界
ベンチャーキャピタルは、それが育むスタートアップエコシステムと同様にリスクが高い業界です。まさに「持つ者」と「持たざる者」の世界であり、実際に大きな成功を収められるのはほんの一握りの人たちだけです。経済的安定への近道を求められる業界でもなく、むしろ時間やお金、労力の長期的な「投資」が必要とされ、業界ならではの課題やリスクも伴います。起業家であれGPであれ、これが厳しい現実なのです。
そして投資先の起業家と同様に、より明るい未来や大きなリターンを期待して多くのGPが今も多額の個人資産をコミットしています。その未来の実現までに何十年とは言わないまでも、何年もかかるかもしれないこと、もしかしたら実現すらしないことは承知の上です。
リスク・リターン・プロファイルは大きく異なるかもしれませんが、VCの世界も起業家の世界も、おそらく多くの人が一般的に想像している以上に似たダイナミクスが働いているのです。
連載:VCのインサイト
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