FTCによると、HEYDUDEが削除したレビューの80%以上が、五つ星中で四つ星以下の評価を下したものだった。同社はまた、返品の際に現金ではなくギフトカードを顧客に渡すなどの慣行で、FTCの規則に違反したとされている。
FTCの消費者保護局のサミュエル・レバイン局長は声明で、「小売業者が消費者のレビューをオンラインで公開する場合、否定的なレビューを抑圧して消費者を欺くことは許されない。小売業者はまた、商品を期限内に発送しない場合に、購入者に注文をキャンセルし、速やかに返金を受ける選択肢を与えなければならない」と述べている。
HEYDUDEを創業したイタリア人起業家アレッサンドロ・ロザーノと、そのビジネスパートナーのダニエレ・グイディは2022年2月、同社の事業を25億ドルでクロックスに売却した。この取引により、ロザーノは保有資産14億ドル(約2000億円)のビリオネアになり、グイディは6億5000万ドルを得たとフォーブスは試算している。
HEYDUDEは、コンフォートシューズと呼ばれる靴のブームに乗り、売上高は2018年の2000万ドルから、2021年には5億8100万ドルに急上昇。純利益は1億7500万ドルに達した。クロックス傘下に入ってからは、売上高は最新の12カ月間で10億ドルを突破している。
FTCによると、HEYDUDEは商品の配送が遅れた場合にも購入者にキャンセルの機会を与えず、返金ではなくギフトカード提供で対応していた。また、2020年1月から2022年6月までの間に、ウェブサイトに掲載された低評価レビューの大半を削除。従業員向けの指示書で、高評価のレビューのみを公開するよう指示していたとされる。
FTCは、HEYDUDEに対し今後の行動を改めるように求める裁判所命令案を公表。HEYDUDEが支払う195万ドルは、被害を受けた消費者への返金に充てるとした。
一方、クロックスはFTCの発表を受けた声明で、FTC規則違反は「主にクロックスが同社(HEYDUDE)を買収する以前の2020年年末商戦に起きていたものだ」と説明。「和解での金銭の支払いは、レビュー抑圧に関するものではなく、少数のHEYDUDE製品のオンライン注文での配送時間に関するものだ」とし、FTCの発表を一部否定した。
(forbes.com 原文)