時代とマーケティングの変化
企業はかつてなく、社会全体の利益を追求する「ソーシャル・マーケティング」や企業の営利活動と社会貢献(大義)を直接的に結びつける「コーズ・マーケティング」を重視するようになっている。マーケティング・コンサルタントとして豊富な経験を持ち、女子プロテニス協会(WTA)ツアーや米国テニス協会にも深く関わってきたジョー・ファヴォリートは「テニスで頭角を表し、そして立ち上がった」選手たちは、ブランドにとって「極めて価値ある存在」になっていると述べている。
ここ数年、ガウフほど率直な発言をしている人は、ほとんどいない。彼女は2020年、黒人に対する暴力と構造的な人種差別に反対する「ブラック・ライブズ・マター」活動の集会で行った演説で、広く称賛された。
また、2022年の全仏オープンでは「銃暴力をなくそう」と訴え、2023年の全米オープンでは、気候変動の危機を訴える活動家らによって準決勝戦の開始が遅れたことに「あまり腹を立てることもできない」とコメントした。
スポンサー数も「レジェンド」並みに?
ガウフは現在、スポーツシューズブランドのニューバランス、ラケットメーカーのヘッドに加え、その他6社と長期パートナーシップ契約を結んでいる。そのうち英会計事務所ベーカーティリーインターナショナルと音響機器のBose、貨物運送のUPSとは、2023年に入ってから契約した。テニス選手をサポートする企業が多い自動車やスポーツドリンクなどを含め、ガウフがスポンサー企業を獲得し得る業界は、ほかにも数多くあるだろう。
24年前に初めてグランドスラムを制した41歳の「レジェンド」は、コート外で年間3億4000万ドル以上を稼ぎ、フォーブスの「米国人セルフメイド女性長者番付」には現在、保有資産2億9000万ドル以上でランクインしている。ガウフはこの面においても、そのウィリアムズをモデルとすることができる。
だが、ガウフは自らの道を、自分で切り拓いていくだろう。ガウフのエージェントは、こう話している。
「彼女は、私は(2番目の誰かではなく)1番目のココ。自分のやり方で、自分の足跡を残していきたい、そういうでしょう」
(forbes.com 原文)