ヒントンは「私は今、5年から20年と予測しているが、あまり自信はありません」とX(旧Twitter)で発言している。「私たちはとても不透明な時代に生きています。デジタルインテリジェンスが私たちを追い越すということについては、私が完全に間違っている可能性もあります」
ベニオフは、同社のAI計画と提供サービスについて詳しく説明したプレゼンテーションの冒頭で、セールスフォースが現在世界第3位のソフトウェア企業であり、2024年には350億ドル(約5兆1000億円)もの収益を予測していると述べた。セールスフォースは、約10年前の2014年にAI研究チームを開始し、300のAIに関する特許を持っており、従業員は227のAI研究論文を執筆している。次の5年間で最高のAI技術を実装できる企業が、後発の競合他社を圧倒できることから、多くの点においてセールスフォースは自らをAIファースト企業の実現するための有力なプレイヤーだと考えている。
セールスフォースのAIエンジンであるEinsteinは、すでに1週間に1兆回以上の予測を実行していると同社は述べており、最高技術責任者(CTO)のパーカー・ハリスは、同社はすでに「10個以上のLLM」を構築したという。
LLMとは、ChatGPTのようなここ数年で最も洗練され、影響力のあるAIエンジンを駆動する大規模言語モデルのことである。
ベニオフは「私たちはAIの涅槃(ニルバーナ)に到達したいのです」という。
おそらく彼のいう「AIの涅槃」とは、企業がAIを導入してプロセスを合理化し、意思決定を迅速化し、シームレスな顧客サービスを可能にすることだろう。これはテクノロジーの進化における重要な一歩だとセールスフォースの関係者はいう。
セールスフォースのAI担当CEOであるクララ・シーが、今週初めに私に「20年前にグーグルが登場したとき【略】誰もが賢くなりました」と語った。「私たちは今、そのような極めて重要な瞬間に立ち会っています【略】人間の可能性が一歩前進するところを見ているのです」
AIの涅槃は「ハイパーオートメーション」にも似ている。
ハリスCTOが示したように、このハイパーオートメーションとは、ウェブサイトを自動生成するAI、eコマースアプリの製品説明を自動生成するAI、マーケティングキャンペーンのランディングページを自動生成するAIを意味する。セールスフォースは、顧客であるウィリアムズ・ソノマのサービス担当者がAIを活用して、顧客からの問い合わせに対する返答を自動的に提案したり、問題の解決策を積極的に提案したり、顧客とのコミュニケーションを図ったりしている様子を紹介した。営業担当者のためには、AIが会議を設定し、その会議の議事録を記録し、アクションアイテムを生成する方法を示している。