気候・環境

2023.09.16 08:00

世界の水質、異常気象増加で低下の恐れ 研究結果

Jon Rehg / Shutterstock.com

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干ばつや熱波、暴風雨、洪水の発生頻度が高まることで、利用できる水の量と質が世界中で脅かされているとする研究論文が12日、オランダのユトレヒト大学により発表された。気候変動が人間の健康に深刻な脅威をもたらすとの懸念が改めて浮き彫りとなった。
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研究では、異常気象が発生した際の河川の水質について世界各地の965事例を分析。異常気象が水中の栄養素や金属、微生物、プラスチックの濃度や、水温、溶存酸素濃度、塩分濃度に影響を及ぼすことが明らかになった。

論文によると、水質に最も悪影響を及ぼしているのは干ばつと熱波で、これらの異常気象が発生した際に調査が行われた河川の68%で水質が低下。暴風と洪水では、調査対象河川の51%で水質低下がみられた。

また、さまざまなタイプの気象現象がそれぞれの形で水質に影響を与えることがわかった。例えば、干ばつや熱波は通常、河川の水温や塩分濃度を上昇させ、藻類を増殖させるが、地下水の流れや河川への流入が減るために水に含まれる農業や都市部の暮らしで発生した汚染物質の減少につながる。
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一方、大雨や洪水が発生すると、汚染水の流れが増えるため、河川には通常より多くのプラスチックや金属、栄養素が流れ込むが、水が増えることで塩分や汚染物質の濃度は薄まる。

国連によると、2000年以降、洪水絡みの自然災害は134%増加し、干ばつが発生する期間は29%増えている。

気候変動により、ここ数十年にわたり水温が緩やかに上昇し、河川の藻類は増加。米環境保護庁(EPA)によれば、藻類は酸素を消費し、水中植物の日当たりを遮り、水生生物の生息環境を悪化させる。

水質の低下はまた、河川の水を入浴や飲用に適する水へと処理する施設に負担をかけ、水中の病原体を増加させる。非営利団体の自然資源防衛協議会によると、汚染された水によって年間約10億人が病気にかかっており、そうした水の中を泳ぐだけでも危険がある。米国では、毎年350万人が汚れた水が原因で、発疹や呼吸器の感染症、肝炎などを罹患しているという。

国連によると、地球上の水で使用可能な淡水はわずか0.5%で、土壌や湿気、雪、氷に蓄えられている水の量は過去20年間、年1cmの割合で減少している。氷河や積雪の水は気候変動が進むにつれてさらに減少すると予測されており、海面上昇によって沿岸地域で利用できる淡水も減る見込みだ。

研究チームは、異常気象が増える中、当局は十分な水質管理策を立てる必要があると指摘。また、気候変動が安全な水の利用に与える影響を理解するため、さらなる研究が必要だとした。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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