欧州

2023.09.14 09:00

ロシア、1950年代のT-55戦車でウクライナ反攻に対抗

これは間に合わせの活用法だ。英王立防衛安全保障研究所は最近の研究論文で、老朽化した戦車を使った榴弾砲について「非効率的な大砲だ」と指摘。「とはいえ、戦車は防御力が高く、対砲兵射撃に対する脆弱性が軽減されるため、このような榴弾砲の発射は往々にして砲兵隊には実行できない位置から行うことができる」と記している。

だがそれでも、ウクライナ軍の対砲兵射撃は、3カ月に及ぶウクライナ軍の反転攻勢の南部戦線にいるロシア軍の砲兵にとって大きな問題だ。

ロシアが2022年2月にウクライナに侵攻し、今年6月にウクライナ軍が反攻を開始して以来激化している砲兵対砲兵の戦いでは、ロシア軍がウクライナ軍の大砲を1門破壊するごとに、ウクライナ軍は最近ではロシア軍の大砲を3門破壊している。

ロシア軍がウクライナ軍より多くの戦車や大砲を保有しているのは事実だ。また、ロシア空軍の出撃回数はウクライナ空軍を上回り、飛ばす一人称視点(FPV)ドローンの数もウクライナ軍より多い。

だが、ロシア軍が最も脆弱な戦線に、最も性能の低い戦車を配備しているのには理由がある。特にロボティネの南側でウクライナ軍の勢いが増すにつれ、ロシア軍はますますプレッシャーを受けている。その圧力があまりにも大きいため、70年前の戦車が数両到着しただけでも、苦境に立たされた部隊に安心感を与えているようだ。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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