2枚のチョコレートクッキーの間に白いクリームが挟まれている、あのクッキーだ。110年以上愛され続けているオレオは、アメリカでは牛乳に浸して食べるのがポピュラーな食べ方だ。“オレオと言えば牛乳”という認識は、広く知れ渡っていた。
そんなオレオが、”長年の盟友”とも言える牛乳のパッケージのバーコードを活用して、新しいキャンペーンを仕掛けた。スマートフォンのアプリでバーコードを読み取ると、割引でオレオが買えるクーポンが手に入る、というものだ。
対象は牛乳のパッケージのバーコードのみ。例えばツナ缶のバーコードを読み取っても、クーポンは発行されない。何故ならば、あくまでも関係の深い牛乳だけが対象だからだ。
OREO: Oreocodes (Cannes 2023)(Direct Silver Lion)
この事例は、今年6月にフランスで開催されたカンヌライオンズ2023において、ダイレクト部門ゴールドなどを受賞した。カンヌライオンズとは、世界の広告界やマーケティング界で飛びぬけて大きな影響力を持つアワ−ドである。
牛乳は買うけれどオレオは買わない?
近年、クッキー全体の売上高は減少傾向にあり、一方で牛乳の売上高はわずかながらも増加傾向を示していた。オレオは99%の知名率を誇る人気のクッキーで、オレオと牛乳のセットは一般的だったが、「牛乳は買うけれどオレオは買わない」という人が多数存在していたのだ。
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そこでオレオは考えた。「オレオと言えば牛乳」を「牛乳と言えばオレオ」に転換することができれば、牛乳だけを買う人にもオレオを買ってもらうことができるのではないか、と。
そして注目したのが、パッケージに必ず記載されているバーコードだ。たぶんチームの誰かが思い付いたのだ。バーコードって、オレオを積み上げて、横から見たところに似てないか?と。
OREO: Oreocodes (Cannes 2023) (Direct Silver Lion)より
「白いクリームが2倍入っているオレオ」や「黒いチョコレートクッキーが薄くなっているオレオ」などと見立てて考えれば、バーコードはオレオを積み上げたものに見えてくる。