テスラ株は約10%上昇し274ドル(約4万円)近くとなり、7月19日以来の高値で取引を終えた。
これは、テスラにとって1月以来、1日で最大の急騰となる。
この急騰は、モルガン・スタンレーのアダム・ジョナス率いるアナリストチームがテスラの株価評価を「様子見」から「買い」に変更し、価格目標を250ドルから400ドルに引き上げたことを受けてのものだ。
このモルガン・スタンレーの格上げの主な背景には、テスラのスーパーコンピュータ「Dojo」に対する楽観論がある。ジョナスは、このスーパーコンピュータが、現在、時価総額約8000億ドル(約117兆2000円)のテスラの企業価値を最大5000億ドル(約73兆3000億円)高める可能性があると見積もっている。
Dojoは、主にビデオデータを使って自動運転車を訓練するために設計されたテスラの人工知能技術ネットワークであり、テスラが「固定価格で売る自動車販売の枠を大きく超え」て、利益をあげやすいSaaS(Software-as-a-Service)市場の有力プレイヤーになる後押しをするだろうとジョナスは書いている。
ジョナスが示す同社の目標株価は、FactSetが追跡しているアナリストの中で最も高く、2022年1月以来の最高の分割調整レベルにテスラが到達すると予測している。
「Dojoは『マスコノミー(マスク・エコノミーの略)』の中核となる可能性を秘めている」とジョナスは書き、この機械学習技術がテスラCEOであるマスクのソーシャルメディア企業X(旧Twitter)や宇宙通信企業スペースXの中核にもなりうると予測している。
マスクは7月、テスラは今後1年間、Dojoの開発に10億ドル(約1466億円)以上を費やすと投資家たちに語った。エマニュエル・ロズナー率いるドイツ銀行のアナリストは先週、顧客向けのメモに「Dojoによって、(テスラは)画像とビデオ処理のニーズに特化したスーパーコンピュータを持つことができると考えている」と述べている。テスラ株は年初来で100%以上も上昇しており、2023年のS&P 500でトップリターナーに入る。とはいえ、テスラはパンデミック中のピークからはおよそ35%下落している。
ジョナスはテスラのAIの見通しについて明らかに心変わりしている、彼は6月には投資家たちに「自動運転と生成AIは、我々の見解では、依然として2つのまったく異なる技術分野である」と警告していたのだ。AI関連銘柄は今年の市場全体の上昇を牽引しており、その牽引役となったのは200%以上の上昇を記録したエヌビディアで、これによりエヌビディアの時価総額は1兆ドル(約146兆6000億円)を超えた。
6月にバークレイズのアナリスト、ダン・レビィは、Dojoは、最近のAIの進歩からテスラが利益を得る「主要なところ」であるが、サービスを外部企業に販売することからの収益を生成することはおそらく「かなり先のことになるだろう」と書いている。
フォーブスの計算によると、テスラの個人筆頭株主であるマスクの資産は2610億ドル(約38兆3000億円)だ。彼は世界で最も裕福な人物であり、次に裕福なLVMHのベルナール・アルノー会長を600億ドル(約8兆8000億円)以上上回っている。マスクは米国時間9月11日だけで約190億ドル(約2兆8000億円)資産を増やした。
(forbes.com 原文)