この工場は、米中間の地政学的緊張の中、中国からの投資の落ち込みに対抗するものと言える。ロジウム・グループの直近の報告書によると、中国から米国への直接投資は、2016年の460億ドルから2022年には50億ドル以下に減少した。
プリツカー知事は、このプロジェクトを「イリノイ州におけるここ数十年で最も重要な製造業への新規投資」と述べている。この工場では2600人の新規雇用が創出され、来年には生産が開始される予定という。
国軒高科は、イリノイ州がクリーンエネルギー関連の投資を呼び込むために設立した基金から、5億3600万ドル相当のインセンティブを付与される。同社はさらに、30年間の固定資産税の減免を地元当局から承認された。
ドイツのフォルクスワーゲン(VW)は、2020年に国軒高科の発行株式26.47%を11億ユーロで取得していた。「当社のバッテリー技術は、北米のモビリティと米中の経済及び貿易交流の促進に役立つと信じている」と国軒高科のLi Zhen会長は8日のプレスリリースで述べた。
国軒高科の2023年上半期の売上高は76.4%増の152億元(約3060億円)、純利益は223%増の2億900万元だった。しかし、EV市場における厳しい価格競争の中、深圳市場に上場する同社の株価はここ1年で31%下落している。
8月29日に開催された米中ビジネスフォーラムで、デトロイトを拠点とする自動車コンサルタント会社Sino Auto Insightsの創業者のトゥー・レは、物議を醸す米中の自動車関連企業間の提携は、それでも前進する可能性があると述べた。
「米国の自動車メーカーが5万ドル以下のEVで利益をあげようとするならば、中国製のバッテリーが不可欠だ」と彼は指摘した。
中国のバッテリーメーカーと提携している米国企業のうち、テスラとフォードはCATLと、GMは合弁パートナーの上海汽車(SAIC)と提携している。
(forbes.com 原文)