北米

2023.09.11

FRB幹部がステーブルコインに「深い懸念と重大リスク」指摘

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ビットコインの価格が、期待されたブラックロックのETFの申請前の水準まで下落し、一部ではビットコインとイーサリアムの「デスクロス」を警戒する声が上がる中、金融当局の幹部が衝撃的な見解を明らかにした。

米連邦準備制度理事会(FRB)のマイケル・バー副議長は9月8日、主要暗号資産の価格と密接にリンクしている1200億ドル(約18兆円)規模のステーブルコイン市場について「深く懸念している」と発言した。

バー副議長は、フィラデルフィア連邦準備銀行が主催したフィンテック関連の会合の場で「仮に連邦政府の規制を受けないステーブルコインが決済手段や価値の貯蔵手段として普及すれば、金融の安定性や金融政策、米国の決済システムに重大なリスクをもたらす可能性がある」と述べた。

さらに、連邦政府の強力な監督なしに運営されているテザーやサークルのUSDCのようなステーブルコインについて「深く懸念している」と付け加えた。

ステーブルコイン市場はここ数年で約1200億ドルに膨れ上がり、ビットコインやイーサリアムと密接なつながりを持つテザーとUSDCは、この分野を支配するまでに成長している。

米国の議員らはステーブルコインを規制する法案を通過させて、ヨーロッパやアジアに追いつこうと躍起になっており、下院金融サービス委員会では、民主党と共和党が、州の規制当局がどの程度の自治権を持つべきかをめぐって争っている。

「重大なリスクが顕在化する前に、立法と規制の枠組みを正しくすることが重要だ。我々は、議会がこの重要な問題に取り組んでいることに感謝しており、ステーブルコインのための強固な連邦政府の枠組みを確保するために、さらなる関与を期待している」とバー副議長は述べた。

FRBのパウエル議長は6月の下院金融サービス委員会で「我々は、連邦政府が強固な役割を果たすことが適切であると考えている」と述べていた。

一方、ビットコインやイーサリアムを含む主要な暗号資産の価格は、長引く弱気トレンドの中で苦戦している。

FXブローカーFxProのアナリストであるアレックス・クプツィケビッチ(Alex Kuptsikevich)は先日のEメールのメモで「ビットコインは2週間以上、2万6000ドルに固定されている。200日移動平均線を上回ろうとする動きがテクニカル的に売りを誘い、弱気勢が市場の主導権を手放さないことが確認された。この動きは、市場に下降モメンタムが形成され、潜在的に2万5000ドル、もしくは2万4000ドルにまで下落するリスクを示唆している」と指摘した。

「イーサリアムのチャートでは、50日移動平均線が200日移動平均線を下回るデスクロスが形成されている。このようなシグナルはさらなる下落を示すもので、ビットコインのチャートでは、来週デスクロスが形成される可能性がある。しかし、イーサリアムはすでに局所的に売られすぎているようにも見える」とクプツィケビッチは付け加えている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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