デンマークとドイツから供与されるレオパルト1には、レオパルト2と同じEMES射撃統制システムが搭載されている。ベルギーが保有していたレオパルト1には独自のSABCA射撃統制システムが採用されていて、サポートは難しい半面、精度はさらに高いかもしれない。
熟練した砲手はレオパルト1の主砲で、条件が整っていれば昼間なら約3.2キロメートル、夜間ならそれよりやや短い射程で敵の車両に弾を撃ち込めるだろう。これは、より大型の120ミリメートルライフル砲を備えるチャレンジャー2とほぼ同等の能力ということになる。この点で、ウクライナ軍の戦車兵がチャレンジャー2を「スナイパーライフル(狙撃銃)」のようだと表現しているのは注目に値する。
もっとも、ウクライナ空中機動軍(空挺軍)の第82独立空中強襲旅団は最近、南部ザポリージャ州の集落ロボティネ郊外の路上でチャレンジャー2を初めて失っている。ロボティネはウクライナ軍による南部での反転攻勢の主作戦軸にあり、ロシア軍の重要な守備拠点だった集落で、ウクライナ側がこれに先立って解放していた。
このチャレンジャー2は地雷に接触するなどして動けなくなったところに、爆発物を積んだドローン(無人機)に突っ込まれてとどめを刺されたもようだ。ウクライナ軍はこれまでにレオパルト2も6両失っている。チャレンジャー2の損失は、ウクライナの戦場が最も頑丈な戦車にとってすら危険な場所であるということをあらためて思い起こさせた。
第82旅団はチャレンジャー2を主に長距離の直接火力支援に用い、隠れた場所から砲撃させていたとみられる。一方、レオパルト1の運用法としては、この戦車を固定した場所で戦わせるのは最もまずい手になる。そうすればロシア軍の砲撃や爆撃を受けるリスクが高まるし、薄い装甲ではそれに耐えられる可能性もほかの戦車以上に低いからだ。
デンマーク人の教官は、レオパルト1は「走行と射撃に適している」と説明し「ウクライナの友人たちはそれを徹底的に利用することを学ばなくてはならない」と述べている。
(forbes.com 原文)