動き続ける。遠距離から射撃する。そして夜間に戦う──。これが彼のアドバイスだ。中年のこの教官は、20年ほど前、デンマーク軍で現役だったレオパルト1A5に乗っていたと思われる。「彼らが私たちの教えたとおりにレオパルト1A5を使い、敵のどの戦車よりも優れている点を生かせば、間違いなく効果を発揮するはずだ」と教官は述べている。
ベルギー、デンマーク、オランダ、ドイツはこれまでに、1980年代製のレオパルト1A5計178両をウクライナに供与することを明らかにしている。最初の10両はすでにウクライナに届いており、ウクライナ地上軍(陸軍)に新たに編成された第44独立機械化旅団に配備されているもようだ。この旅団はウクライナ東部ルハンスク州クレミンナの西方で、ロシア軍部隊に対する防衛戦を戦っている。
レオパルト1A5は、ウクライナ軍が装備する西側戦車としては最多のものになる見通しだ。ウクライナはほかに英国からチャレンジャー2、米国からM-1、欧州からレオパルト2といった戦車をすでに受け取っているか、近く受け取る予定となっているが、チャレンジャー2は14両、M-1は31両にとどまり、レオパルト1の後継車両にあたるレオパルト2も現状、供与を約束されているのは85両となっている。
ウクライナに供与されるレオパルト1A5はさらに増える可能性もある。ただ、中立国のスイスは自国企業が保有しているレオパルト1のウクライナへの引き渡しを拒んでいる。この企業のレオパルト1をギリシャに送り、ギリシャが現役のレオパルト1の一部をウクライナに渡すという取引も取り沙汰されていたが、これはたんなる臆測にすぎなかったようだ。
レオパルト1A5がウクライナ軍の保有するほかの西側製戦車と違うのは、その軽量さだ。ほかの戦車の重量がだいたい70トンくらいあるのに対して、レオパルト1A5は40トンほどだ(乗員はいずれも4人)。これは主に装甲が薄いことからきている。レオパルト1A5の装甲は最も厚い部分でも70ミリメートルしかない。ただ、そのため装甲の防御力は弱く、最高のレオパルト2と比べるとわずか10分の1ほどだ。