同社によると、中国政府とつながりのあるハッカー集団が、自動生成した画像をSNS上で拡散させている。目的は、政治に関してさまざまな考えを持つ有権者を模倣し、人種や経済、イデオロギーなどの面での論争を煽ることだ。
マイクロソフト脅威分析センターのゼネラルマネージャー、クリント・ワッツはブログへの投稿で「中国とつながりのあるアクターらが、銃による暴力のような政治的に分裂を招くトピックの拡散や、米国の政治家や政治的シンボルの中傷などの広範に及ぶ活動で、AI生成の視覚媒体を活用していることを確認している」と説明。
「このテクノロジーは、かつての活動で使われていた下手なデジタル描画やストックフォトのコラージュより目立つコンテンツを生み出す」と述べている。
だが、質が悪いAI生成画像であっても、ソーシャルメディアのユーザーは騙されているようだ。マイクロソフトによると、指が6本ある手の画像も頻繁に再投稿されているという。
報告書によれば、中国は米国以外では主に南シナ海周辺の国々にそうした活動を集中させている。活動の主な担い手は「Raspberry Typhoon(ラズベリー・タイフーン)」という集団で、政府省庁や軍事機関、そして通信分野などの主要インフラ企業を標的としている。
ワッツによると、他のハッカーたちは、中国の軍事分野での競争力を高めて戦略的な軍事目的を達成するために、米国の防衛産業とインフラを標的にしているという。
中国はまた、ソーシャルメディアインフルエンサーのトレンドに便乗し、「多言語ネットセレブスタジオ」なる活動を展開。マイクロソフトによると、230人以上の国営メディア従業員や関係者が欧米の主要なソーシャルメディアでインフルエンサーを装っている。
そうした偽インフルエンサーは、複数のプラットフォームで40以上の言語で情報を発信し、合計で少なくとも1億300万人のフォロワーを獲得しているという。