きっかけは2014年の出会い
Imbueの2人の創業者らは、2014年のカリフォルニア大学バークレー校のカンファレンスで初めて出会った。その当時、チウはDropboxに勤務し、ドリュー・ヒューストンCEOのチーフスタッフを務めていた。アルブレヒトは、いくつかの新興企業でCTOを務めた後、資産運用会社アディパーのデータ部門で働いていた。大学ではともに機械学習を学んだ2人は「AIが支配する世界における人間の意思決定能力の未来」といった高尚なテーマの話題で意気投合したという。しばらくして、アルブレヒトは自身が設立したVR(仮想現実)デバイスのスタートアップEmber Hardwareにチウを招き入れたが、会社は軌道に乗らなかった。
その次に設立したSourceressは、2017年に名門アクセラレーターのYコンビネータの審査を通過し、Dropboxのヒューストンを含む投資家からら350万ドルのシード資金を調達した。
同社の売上高は一時期には、数百万ドルに達したが、その後は成長が鈍化した。チウとアルブレヒトらは投資家とより大きな可能性を秘めた別のアイデアに軸足を移すことについて議論し、2020年後半にSourceressを閉鎖し、約400万ドルを投資家に返却した。そして、2人の新たなスタートアップへの出資を呼びかけた。
Imbueはシリコンバレーに深いコネクションを持つにもかかわらず、このカテゴリーに属する何人かの著名な投資家は、このチームが本格的なAI研究ラボを運営する能力に疑問を持っていると述べた。それでも彼らは、商業プロジェクトとしてAIエージェントをリリースするというImbueの試みが、長期的に見て、他の資金力のあるスタートアップとの差別化要因になるかもしれないと考えてる。
一方、チウとアルブレヒトは、チームの研究能力に関する懸念に動じていない。彼らは、AI研究だけでなく神経科学やプラズマ物理学の知見を持つメンバーが社内にいることを指摘し、その幅の広さが会社の強みだと主張している。
ChatGPTを立ち上げて人気を博したOpenAIのように、Imbueはいつか世間を驚かせることになるのかもしれないが、それには時間がかかりそうだ。ただし、アルブレヒトは、同社のエージェントが主流になるまでに10年はかからないだろうとも述べている。
「私たちは、準備が整い、本当にいいものを生み出したと思えるまで、プロダクトをリリースするつもりはない」とアルブレヒトは述べている。
(forbes.com 原文)