この人物はドラマ放映開始後、現役の別班員たちにドラマの感想を聞いたという。皆、「ドラマでは、自衛隊で最も優秀なエリートたちと紹介されているけど、俺たちエリートじゃないし」と面はゆい表情で語っているという。
別班に新しく採用される人は、29歳程度の1等陸尉か30代前半の3等陸佐クラスが大半だ。班長は40代手前くらいの2等陸佐のため、自らが昇進を望まないなどの事情がない限り、別班で働くのは、長くても5〜10年程度だという。陸上自衛隊でエリートと言われる人々は、陸上幕僚長や師団長などに任じられる人だが、別班員らは情報収集の職人という存在で、そのような昇進コースに乗ることはほとんどない。
では、別班員はどのような仕事をしているのか。別班は非公然組織であるため、自衛官の身分は維持しつつも、所属は「陸上幕僚監部付き」になる。自衛隊の組織から切り離され、身分を偽装して活動する。別班員たちは雑居ビルに作った「○○研究所」といった仮の仕事場に出勤する。きちんと職場があれば、ましな方で、場合によっては、インターネットのホームページにだけ仮の会社を立ち上げ、実際は「アジト」と呼ぶマンションの一室などに出勤している例もある。名刺の肩書は「研究員」だったり、「フリージャーナリスト」だったりする。
仕事は、北朝鮮や中国、ロシアの内部情報の収集だ。港湾や飛行場などの詳細な情報、軍糧米の備蓄状況などについて調べているという。現地に赴く日本人や現地の人々に協力を依頼し、人的情報(ヒュミント)を集める。ただ、北朝鮮は入国が極めて難しく、2020年1月からは日本人の入国は許されていない。中国も2014年から反スパイ法を制定した。このため、ほぼ現地に住む人々の協力が必要になる。