経済・社会

2023.09.08 13:00

アップルの売上11兆円が突然危機に、中国が政府機関でのiPhone禁止に

安井克至

nikkimeel / Shutterstock.com

米国時間9月7日の午前中だけでアップルの株価は3.34%下落し、先週に比べて企業価値が約2000億ドル(約29兆5000億円)も減少した。この原因は中国からの2つの大きな打撃だ。米国時間9月6日、中国は政府機関でのiPhoneの使用を禁止し、米国時間9月7日、中国がその禁止を政府支援の機関や国営企業に拡大する計画であるとのニュースが伝えられた

超大国が衝突すれば、巻き添え被害が発生する。

この動きは、米国やヨーロッパがファーウェイの通信ネットワークへの関与を制限してきたことと同様に、中国政府や企業から外国の技術を排除しようとする試みの1つでもある。もう1つの打撃要因は、米国が中国向けの高技術コンピュータチップの販売およびオランダの世界的リーダーであるASMLからのチップ製造機器に制限をかけたことだ。ASMLのフォトリソグラフィ機器は、高度なコンピュータチップの生産に使用される。

中国政府がさらに懸念しているのは、アップルが中国の国内市場において地域のベンダーよりも高い利益を上げていることだ。他のベンダーはもっと多くのユニットを販売しているが、アップルは高価格デバイスのおかげで、利益は大きい。

中国との関係悪化がアップルに及ぼす大きな問題は、2022会計年度に同社が「大中華圏」と呼ぶ地域に、主に740億ドル(約10兆9000億円)相当のiPhoneを販売したことだ(「大中華圏」には中国本土、香港、マカオ、台湾、チベットが含まれる)。この数字は2021年には680億ドル(約10兆円)だったが、2023年にはもっと大きくなる可能性がある。
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翻訳=酒匂寛

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