RBS70は主にレーザーで誘導するが、レーザーがスプーフィング(偽電波へのすり替え)されても対応できる。製造元のサーブは「地上のオペレーターは発射後、いつでも手動制御を使用でき、それによって目標地点を変更できる」と説明している。
こうしたバックアップの誘導手段を活用して、ウクライナ陸軍第47機械化旅団のRBS70運用部隊は8月17日、Ka-52を相次いで2機撃墜した。第47旅団は6月上旬に始まった南部での反転攻勢に加わって以降、ロシア軍からビーフリによる攻撃をたびたび受けており、痛快な復讐を果たした格好だ。
そして、いまではKa-52の搭乗員は滞空中、RBS70をはじめとする対空兵器による地上からの砲撃だけでなく、空からのFPVドローンの来襲についても心配しなくてはいけなくなった。「FPVドローンが攻撃ヘリを空中で仕留めるのは時間の問題だ」と、米国防総省の国防契約管理局(DCMA)で品質監査官を務め、ミサイルに詳しいトレント・テレンコは予想している。
ロシア空軍はKa-52をなお75機かそこら保有しており、さらに取得することもできる。だが、熟練した航空要員の喪失は、ロシア空軍にとって機体の損失以上の痛手かもしれない。ウクライナで死亡した搭乗員の代わりとなる十分な要員を訓練するには、おそらく何年もかかるだろう。
しかも、これはFPVドローンによる損害を考慮する前の話である。今後、ウクライナ軍のFPVドローンオペレーターがロシア軍の攻撃ヘリを執拗に狙い始めれば、搭乗員の死者はさらに増えるかもしれない。
(forbes.com 原文)