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2023.09.11 13:30

評価されるアルファベットの1.2万人大規模人員削減

一方、人員削減を発表した当時のアルファベットは、収益が伸びないという問題を抱えていた(2022年10~12月期決算は、純利益が34%減で、4四半期連続の減益になっていた)。同社の事業はあまりに巨大化し、デジタルトランスフォーメーション(DX)ブームによる青天井的な成長はもはや望めないところに来ていた。さらに、世界の経済情勢の悪化や、企業が予測する売上の低下、広告予算の縮小といった事象からも悪影響を受けていた。

しかしアルファベットには、クラス最高の質を誇る同社のデジタルサービスの基盤となっているテクノロジーを用いて、同社をまったく新しい企業に脱皮させる大きなチャンスも存在した。

Business Insiderは2022年11月、グーグルの社内プログラム「ピッチフォーク(Pitchfork)」について報道した。これは、アルファベットの開発研究部門「X」内で始まり、2022年夏にGoogle Labsへと移管されたプロジェクトで、AIが人間の介入なしにコードを書き、さらに、書いたコードを自動で修正・アップデートするようトレーニングするというものだった。これによって、コードを書くソフトウェアエンジニアの必要性は大幅に減少するという。

そして、冒頭で述べたように、アルファベットは2023年1月に1万2000人の削減を発表した。2023年7月に発表された第2四半期(4~6月期)決算によると、2023年6月末の時点で、フルタイム勤務の従業員数は18万1798人となった(前述した人員削減の対象となった従業員の大部分は、この決算の締め日である6月30日時点での従業員数には、もはや含まれていないという)。

英国のヘッジファンドTCIは2023年1月、アルファベットが人員削減を発表したことについて「正しい方向への一歩」と評価しつつも「経営陣はさらに踏み込む必要がある」と述べ「2021年末のアルファベット従業員数である15万人程度を目標に削減すべき」と提言した。また、TCIは給与削減も求めた。

大幅な人員削減を行なったあと、伸び悩んでいた広告事業が復調したこともあり、2023年4~6月期決算の純利益は、前年同期比14.8%増。最終増益は6四半期ぶりとなる好成績となった。アルファベットの株価は、2022年末には95ドル程度だったが、2023年9月現在の同社株は130ドル前後で推移している。

メタ、アマゾン、マイクロソフト、セールスフォース、オラクルなども、2022年末から2023年春にかけて、相次いで大規模な人員削減を発表している。

forbes.com 原文

翻訳=ガリレオ

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