2023年7月に運用開始1周年を迎えた、テニスコートほどの大きさのウェッブ赤外線望遠鏡は、夜空で最も有名な天体のいくつかを画像に収めた。
望遠鏡に搭載されたNIRCAM(近赤外線カメラ)とMIRI(中赤外線観測装置)を用いて、近・中赤外線で初めて捉えた有名な超新星残骸、惑星状星雲、大型銀河の画像では、これまで確認できなかった細部までつぶさに見ることができる。
ここでは、目を見張るような3枚の画像を紹介し、そこに写る天体について説明する。
1. 超新星1987A
ウェッブ宇宙望遠鏡が初めて撮影した超新星1987Aの画像(NASA, ESA, CSA, Mikako Matsuura (Cardiff University), Richard Arendt (NASA-GSFC, UMBC), Claes Fransson (Stockholm University), Josefin Larsson (KTH) Image Processing: A. Pagan (STScI))巨大な恒星はすべて、一生の最後に超新星となり、爆発を起こして層状のガスと塵(ちり)を放出し、美しい残骸を夜空に残す。科学者らは超新星残骸を天の川銀河(銀河系)内で観測できるが、実際の爆発が最後に肉眼で確認されたのは、1987年2月だった。16万8000光年の距離にある大マゼラン雲内で爆発したこの超新星1987A(SN1987A)はそれ以降、地球に最も近い位置で起きた超新星爆発の1つとされている。大マゼラン雲は銀河系を周回する矮小銀河の1つ。
ウェッブ望遠鏡に搭載のNIRCamで得られたこの最新画像(上)には、恒星から放出された、鍵穴の形をした物質と、その周りを取り巻く淡い三日月形の構造が写っている。これは今回初めて観測された。その周囲には、高温の物質の領域がリング状に並んでいる。この物質は、実際の爆発が起きるよりも前に存在していたと考えられており、その外側にはさらに広がった2つのリングがある。