宇宙

2023.09.10 10:30

ウェッブ宇宙望遠鏡がとらえた驚異の3枚 超新星残骸、惑星状星雲、大型銀河

安井克至
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2. 環状星雲M57

ウェッブ宇宙望遠鏡のMIRIで撮影したリング星雲M57の中赤外画像(ESA/Webb, NASA, CSA, M. Barlow (University College London), N. Cox (ACRI-ST), R. Wesson (Cardiff University))ウェッブ宇宙望遠鏡のMIRIで撮影した環状星雲M57の中赤外画像(ESA/Webb, NASA, CSA, M. Barlow (University College London), N. Cox (ACRI-ST), R. Wesson (Cardiff University))

MIRIによって得られたこの画像(上)は、夜空で最も有名な惑星状星雲の1つ、M57だ。明るい1等星のベガ(北半球の夏の夜空に高く昇っている)の近くにある。この最新画像では、明るいリングを包み込むように分布する薄い球状の物質(ハロー)の存在が初めて明らかになった。

星雲内部の状態から示唆されるのは、リング状の星雲を形成している、寿命を迎えた恒星の近くに伴星があることだ。放出されているガスと塵の美しい形状は、この伴星の作用によって生み出されている可能性がある。ウェッブ望遠鏡のNIRCamによる画像も一見の価値がある。

3. 子持ち銀河M51

ウェッブ宇宙望遠鏡のMIRIで撮影したグランドデザイン渦巻銀河M51の中赤外画像。優美な渦状腕が画像全体に広がっている(ESA/Webb, NASA & CSA, A. Adamo (Stockholm University) and the FEAST JWST team)ウェッブ宇宙望遠鏡のMIRIで撮影したグランドデザイン渦巻銀河M51の中赤外画像。優美な渦状腕が画像全体に広がっている(ESA/Webb, NASA & CSA, A. Adamo (Stockholm University) and the FEAST JWST team)

これもMIRIによって得られた最新画像で、明るい中心部を渦状の腕が取り巻いている渦巻銀河M51だ。北斗七星の柄の先端の近くにあり、小型の天体望遠鏡向けの観測対象として人気が高い。

MIRIの画像には、驚くほど奥行きのある網状構造が写っている一方、NIRCamの画像には、集団的な星形成によって発生した電離ガスが写っている。M51は地球から、りょうけん座の方向に約2700万光年の距離にある。MIRIとNIRCamの2枚の合成画像もあり、圧倒される美しさだ。

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

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