彼の名はSnax (スナックス)。「ピザは無料であるべきだ (Pizza should be free)」をスローガンに、PizzaDAO(ピザダオ)というグローバルコミュニティを拡大させ続けている。毎月のように世界各地でピザパーティーを行い、人々をつなげている。PizzaDAOは、ブロックチェーンやNFTのカンファレンスでピザパーティーを主催する一方、ソーシャルインパクトを持つ組織を支援している。Slice Out Hunger、sdmbokji、Happiness Now、Denver Rescue Missionなどをはじめ、多くの非営利団体のサポートを通じて社会に貢献している。
そんな彼と出会ったのは、2021年秋にニューヨークで行われたNFTイベント。DAO(※)が話題になり始めていたタイミングで、「ピザを無償で食べ、つながる」を標榜するPizzaDAOは、他のDAOよりも圧倒的にわかりやすく楽しいので、PizzaDAOに関わり始めた。今ではPizzaDAOメンバーの一員として、毎年5月22日に東京で開催されるグローバル・ピザパーティーの運営を手伝っている。
※ Decentralized Autonomous Organizationの略。組織の代表者が存在せず、ブロックチェーンを基盤として、誰でも自由に参加、平等な立場で運営される「分散型自律組織 」のこと
PizzaDAOの仕組みはシンプルだ。NFT販売とスポンサーから軍資金を得て、人々に無償でピザを配る。2021年から数えて今年で3年目となる東京のパーティーでは、100名以上の来場者にピザを振る舞った。パーティーではピザを無償で食べられるほか、NFTやブロックチェーンコミュニティ向けのイベントでもあるため、様々な意見交換ができる。今年は、ブロックチェーンを用いたアートを手掛けるメディアアーティスト、藤幡正樹さんによる「ブロックチェーンとアート」に関するスペシャルトークも、イベントに華を添えた。
ムーブメントを起こす「最初のダンサー」
「地球の丸さとピザの丸さは同じだろ?みんなでピザを分け合うって、シンプルでとても楽しいじゃないか。あと、ピザは世界どこにいっても通じる共通言語。だから、ピザなのさ」とニコニコしながら主催理由を語るのはSnax。宇宙船地球号の乗員の視点である。しかし、Snaxとの会話では時々脳内がバグる。マネタイズやビジネスモデルは?そしてスポンサー獲得のためのPizzaDAOのミッション&ビジョンは━━?私はつい、既存ビジネスの尺度に当てはめてPizzaDAOを考えてしまうのだが、PizzaDAOはシンプルに「ピザは無料であるべきだ 」というビジョンのみを掲げて進めている。
このシンプルさが訴求力を高め、今年のグローバルピザパーティーは世界70カ国、116都市で開催され、9300人が集った。企業スポンサーによる支援も含めると、運営は黒字だ。